2022 年にはさまざまな制限が緩和され、環境も変化しましたが、YouTube の利用実態は変わったのでしょうか。
Google は 2022 年 12 月 6 日にイベント「YouTube Fanfest Japan 2022(以下、YTFF)」を東京・立川ステージガーデンで開催しました。この記事では、YouTube の最新トレンドや、来場者へのインタビューを通じて、人々の生活の中に YouTube がどのように浸透しているのかを紹介します。
広がるユーザー層、YouTube はますます日常に欠かせない存在へ
2022 年、生活スタイルが変わる中でも、YouTube のユーザー数や視聴時間は伸びていました。以前の記事でも紹介した通り、18 歳以上の国内月間ユーザー数は 7,000 万人に上り、幅広いジャンルで視聴時間が伸びました。
おうち時間の増加を機に YouTube で自宅の中の楽しみを見つけ、新たな学びを得たいと考えた人々は、その後も YouTube の価値を感じ続けているようです。
YTFF の来場者に会場で話を聞いたところ、「クリエイターのありのままの姿が見られる」(20 代女性)、「動画数がかなり多くて、多様性がある。おもしろい動画も感動する動画も、YouTube は幅が広い」(20 代男性)と、コンテンツの内容や多様性を評価する声が集まりました。
また「朝起きて歯を磨くときにまず見る。学校へ行く時の電車の中で見る。帰りも見る。家に着いてご飯食べた後、寝る前にも見る」(20 代女性)、「一人暮らしを始めたことがきっかけで見始めた」(20 代女性)など、生活の一部に定着した様子もうかがえました。
2022 年の YouTube に見る 3 つのトレンド
ユーザーが増加した背景には、もちろんコンテンツの充実があります。2022 年によく見られたチャンネルや動画を分析したところ、3 つのトレンドが見えてきました。
トレンド 1:パーソナルストーリーの共有
YouTube はますます、ファンとクリエイターが深くつながれる場所の 1 つになっています。クリエイターが、ファンに向けて個人的なストーリーを共有する動画が多くトレンドに上がりました。
俳優の杏氏の YouTube チャンネルで公開された『【謙&杏】親子で料理をしました【Cooking】』では、父親で同じく俳優の渡辺謙氏と一緒に料理をする様子を公開。これがメディアでの親子の “ 初共演 ” でした。杏さんがフランス移住も発表するなど、プライベートを公開しています。
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東海オンエアのてつや氏が自身のチャンネルで公開した『【会話シーン初公開】結婚発表メイキング「写真編」』では、峯岸みなみ氏と結婚を発表した際の写真のメイキング動画を紹介。裏側のストーリーをファンに向けて共有しました。
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トレンド 2:ファンコミュニティと一緒に楽しむ
また、ファンとクリエイターが、一緒に盛り上がりを作り出すコンテンツもよく見られていました。
YouTube クリエイターのフィッシャーズが手がける「100 分間鬼ごっこ」は、ファンが毎年心待ちにしているこのチャンネルの大型企画です。多くの YouTube クリエイターたちとのコラボも恒例となっており、昨年もコミュニティが一体となって盛り上がりを生みました。
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日本を含めたアジア、米国、ヨーロッパなど 13 カ国で 18 歳 〜 24 歳に調査したところ、61% の人が「誰かや何かの大ファン、またはスーパーファンである」ことを認めています(*1)。こうしたファンコミュニティの存在が、YouTube の新しいトレンドを生み出す源泉になっているようです。
トレンド 3:マルチフォーマット、マルチデバイス
コンテンツの豊富さだけではなく、時間や場所を問わずに楽しみ方に合わせて視聴できるのも YouTube の魅力の 1 つです。2022 年は、長尺、ライブ、ミュージックビデオ、YouTube ショートといった複数のフォーマットを組み合わせて活用したクリエイターやアーティストが注目を集めました。
アーティストである SEKAI NO OWARI の楽曲『Habit』に関しては、ミュージックビデオがトップ音楽動画の 1 位になったのに加え、YouTube クリエイターの HIKAKIN 氏が SEKAI NO OWARI ボーカルの Fukase 氏とコラボしてミュージックビデオを再現した動画も、トップトレンド動画になりました。さらに『Habit』は、ショート動画でも人気を集め、マルチフォーマットの成功例になっています。
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YouTube ショートでも『Habit』の楽曲やダンスを使用した動画が数多く公開された
現在 YouTube は、モバイルや PC はもちろん、月間 3,500 万人がインターネットに接続したコネクテッドテレビで視聴するなど、さまざまなデバイスで見られています(*2)。こうしたマルチデバイス化を背景に、時間と場所を問わずシームレスな視聴体験が定着しているようです。
たとえば、移動中は短時間で見やすい YouTube ショートをモバイルで視聴し、それがきっかけとなり新たなクリエイターやアーティストを発見。その後自宅に帰って PC やコネクテッドテレビで長尺動画やライブ配信、ミュージックビデオにもハマるといった、デバイスとフォーマットを横断した楽しみ方が増えてきているのが特徴です。
実際、調査でも 18 歳 〜 24 歳の 59%が「短編動画アプリを利用して何かを発見し、その後、長編を視聴する」と回答しています(*3)。
2022 年の急成長クリエイターにも、いくとん、ひみつ基地など、ショート動画を含むマルチフォーマットを積極的に公開したクリエイターが複数ランクインしました。
YouTube ショートについては、YTFF 来場者からも「短くて簡単気軽に見られるので、ちょっと時間がある時に見る」(10 代女性)、「自分が知らない興味のあることを、手短に紹介してくれるので助かる」(30 代女性)、「数秒間で一気におもしろいところを見れちゃう。伝えたいことがまとまっている感じが好き」(20 代女性)といった好意的な声が集まりました。
高まる YouTube のマーケティング効果
YouTube はユーザーにとって楽しむものとしてだけではなく、商品購入の起点にもなっています。YouTube FanFest に先立って発表していた 2022 年初めの調査によると、人々は動画で購入を検討している商品の特徴やスペックを確認したり、広告を通じて新たな商品を発見したりしています。
YTFF 来場者からも「この商品が気になるなと思ったら YouTube で探して、レビュー動画を参考にして購入した経験がある」(20 代女性)、「コスメを買ったことがある。肌に関して同じ悩みを抱えている人の動画を見て購入した」(10 代女性)などの反応がありました。
YouTube 広告についても「広告を選べる。好き、興味があると自分で意思表示できるので、興味をひかれる広告が出やすいと思う」(30 代男性)、「なんとなく興味があるものの広告が出ることが多いので、購入のきっかけとして響きやすい」(20 代男性)など、購入のきっかけになったという声や、「すごく短い時間の広告が多いので、内容がぎゅっと詰まっていてわかりやすい」(20 代女性)、「(長尺の広告の場合は)ストーリー性があるため、企業が伝えたいことがより伝わってくる」(20 代男性)、「気になったものは飛ばさずに見てしまうときがある」(20 代女性)など、広告自体への好意的な意見も多く聞かれました。
2023 年も YouTube は引き続き進化していきます。今もどこかで誕生している新たな動画、トレンドをこれからもご紹介していきます。
YouTube FanFest Japan 2022 来場者へのインタビュー内容は動画でもまとめています。