Google は、動画広告の効果を高めるためのクリエイティブやメディアプランニングについて、さまざまな検証を行なってきました。今回は、ブランドを象徴するロゴに着目し、ロゴの表示が動画広告効果にあたえる影響について、三菱地所レジデンスの事例から検証していきます。
TVCM 動画をもとに合計 3 パターンを展開し、効果を検証
三菱地所レジデンスは、2011 年に「 ザ ・ パークハウス( The Parkhouse )」 というマンション ブランドを立ち上げ、以降このブランドの認知獲得のために広告を展開してきました。今回の広告キャンペーンで目指したのは、「 ザ ・ パークハウス 」 というブランドへの関心を高めることでした。
まず、もともと TVCM として活用していた 15 秒の広告素材では、最初に「 The Parkhouse Show 」 というテキストとナレーションで始まり、最後の 2 秒間に「 The Parkhouse 」と「 三菱地所レジデンス 」 ブランドと企業の 2 つのロゴを同時に表示し、同様にサウンドも入れていました。一方、オンライン動画広告用には、TVCM 版と同様に秒数は 15 秒のまま変更せず、ロゴの表示タイミングを変更した 2 パターンを新たに制作し、合計 3 つの動画を展開しました。
改訂版 A : 最初に企業ロゴ 「 三菱地所レジデンス 」 を、そして最後にブランドロゴ 「 The Parkhouse 」 を表示し、それぞれにナレーションを加える
改訂版 B : 改訂版 A とロゴを表示する順を替えたバージョン。最初にブランドロゴ「 The Parkhouse 」、そして最後に企業ロゴ 「 三菱地所レジデンス 」 を表示し、ともにナレーションを加える
これらのTVCM 版、改訂版 A、改訂版 B を TrueView インストリーム広告で配信し、ブランド効果測定によって、サーチリフト、広告想起率、ブランド認知度の 3 つの広告効果について検証しました。
最も検索につながりやすいのは、最初に表示されたメッセージ
今回の結果で特に注目したポイントが、サーチリフトです。検索とは、ユーザーのニーズの表れです。動画広告を目にした生活者が、その広告に関連するキーワードを検索したということは、広告メッセージに何らかの関心を持ったということを示す証拠だと言えます。これに関して、今回の結果は実に象徴的なものでした。
「 The Parkhouse Show 」 というテキスト表記とナレーションで始まる TVCM 版では、広告に関連するキーワード全体では有意な増加が見られましたが、企業名のみやブランド名のみのキーワード群では有意な増加は見られなかったのに対し、ともに改訂版 A と改訂版 B で は、最初にロゴとナレーションを入れたキーワードの検索が大きく有意に増加したのです。これは明らかに、動画広告の冒頭でロゴを強調したことと因果関係*があると言えます。
今回の検証結果から、動画広告の冒頭でビジュアルとサウンドの双方からブランドを強調することにより、そのブランドへの興味関心を高め、検索へとつなげやすいことがわかりました。往々にして、動画広告にはたくさんのメッセージを詰め込みがちですが、高い広告効果を獲得するためには、どの項目について広告効果を高めたいのかあらかじめ決定した上で、メッセージをシンプルに絞り込み、そのメッセージを動画広告の最初にビジュアルとサウンドで強調するという手法が効果的だと考えます。
* ブランド効果測定はバイアスを取り除くため、広告接触者層と広告非接触者層(広告主が設定したターゲット ユーザーにキャンペーンとは無関係な別広告を表示)にランダムで分けて、広告接触者 v.s.広告非接触者での検索ボリュームの上昇率を比較する手法を採用しています。統計的に有意な差が認められれば、検索ボリュームの増加は広告接触による 「因果関係」 と言えます。