生活者の期待が高まれば高まるほど、ブランドの真価もまた厳しく問われます。 本記事では、ユニリーバの CMO(マーケティングおよびコミュニケーション担当最高責任者)である Keith Weed 氏による、生活者の期待に応え、さらにそれを上回ることができた 3 ブランドの事例を紹介します
モバイルの登場によって、生活者は主体性とこれまでにない決定権を手に入れました。 デバイスを操作するだけで、欲しいものがすぐ購入できる時代になりました。それに伴い、ブランドへの期待は高まるいっぽうです。 また、情報が自由に手に入るようになったことで、生活者自らが優先順位を決定できるようになりました。 このような時代に、ブランドはどうあるべきなのでしょう。
求められているのは、生活者の期待に応えるだけでなく、さらにその期待を超えることができるかどうかです。
ここでは、そんな生活者の期待値を上回っている 3 ブランドのキャンペーン事例を見ていきたいと思います。
これまでにない使いやすさ。バーガーキング スペインの事例から
キャンペーンの詳細:
ゲームをプレイしたことがある人なら、ゲームがどれほど夢中になるものかよくご存知でしょう。 いったんゲームの世界に入り込むと、なかなか抜け出すことができません。 バーガーキング スペインは、ソニーのプレイステーションとコラボレーションして、ゲーム中にデリバリーの注文ができる仕組みをつくりました。 burgerclan と呼ばれるプロゲーマーのチームがゲームに参加して、アマチュアのプレイヤーと共にプレイします。 ミッション完了に向けた協力プレイの最中に、ゲーム世界でアマチュアのプレーヤーがバーガーを注文すると、現実の世界でプロゲーマーがバーガーキングのデリバリー サービスを手配するのです。
効果があった点:
今回のキャンペーンは、ゲームに夢中になったユーザーは、空腹になっても食事のためにゲームを中断したくはないはずという生活者インサイトに基づいて設計されました。 バーガーキングは、プレイヤーが商品を玄関に受け取りに行くわずか数分間を除き、ゲームの臨場感を損なうことのない完璧な体験を実現しました。これは、ユーザーのいるまさにその場で対応できたということを意味します。
これは、ユーザーの気持ちに即座に応えるコンシューマー ジャーニーを実現した例です。
一人ひとりに向けたメッセージを。クノールの事例から
キャンペーンの詳細:
ユニリーバ傘下の食品ブランド「クノール」は、いかにミレニアル世代の生活者の気持ちを引きつけるかが課題でした。 そこでクノールは、人は食の好みが似ている人に惹きつけられやすいというインサイトに基づき、好みの味を判断するクイズを作成、さらに、味覚の好みが似ている見知らぬ男女がブラインドデートするという内容の動画も制作しました。 そして、ミレニアル世代の生活者がクイズの結果をシェアしやすいよう、さまざまなプラットフォーム向けの短いコンテンツも作成しました。 クイズが終わったら、それぞれの回答者の好みに合わせたレシピが表示されるようにしたのです。
効果があった点:
ソーシャルメディアや動画プラットフォームを愛用するミレニアル世代にリーチするだけではなく、積極的にエンゲージメントしてもらうコンテンツを提案したことで、クノールは若い世代の気持ちを一気に引きつけることができました。 好みの味を判断するコンテンツは、クノールは画一的な商品を提供するブランドではないことをミレニアル世代に印象づけました。 その結果、インプレッション数は 20 億回(そのうち 70% 以上が Paid でも、Owned でもなく、外部メディア [Earned Media] からのものでした)に達し、ブランドのグローバルな資産価値を高めることができました
Heatburst の新発売にあたって採用したソーシャルメディア戦略とは。ドリトス U.K. の事例から
キャンペーンの詳細:
ドリトスは、イギリスでの新たなフレーバーの商品発売に向けて、#heatwillcome というタイトルでミステリアスな予告動画を制作、YouTube やソーシャルメディアで配信しました。 関心を高めたところで、改めてドリトスはテレビ CM を展開しました。これは、ドラゴンの赤ん坊と仲良くなった人が、火を吹く友人の素晴らしさと困った点にすぐ気づくという内容です。 ドラゴンの赤ちゃんを主軸にしたこのシンプルなコンテンツは、新たな商品の体験を生き生きと物語っています。 さらにドラゴンの赤ちゃんの GIF 画像も用意し、歌手のエド・シーランのヒットチャート 1 位をシェアするなど、文化関連ニュースを取り上げることで、商品への興味を高めるよう努力を続けました。
効果があった点:
ドラゴンの赤ちゃんは多くの生活者に愛されています。 ドリトスは、商品の体験をドラゴンにたとえて描くことで、生活者のエンゲージメントを促しつつ商品の魅力をうまく伝えました。 しかし、このキャンペーンで注目すべき点はドラゴンだけではありません。 大切なことは、ブランドが生活者からのアクションを待つかわりに、彼らが YouTube やソーシャル メディアで生み出される会話にスムーズに参加できるツールを提供したということです。 ドリトスはこの戦略により、単一のチャンネルで獲得するよりはるかに多くの関心をインターネット上で集めることができました。