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執筆者:
広告営業本部 リテール業界担当
インダストリーマネージャー 早崎 一朗
株式会社セブン-イレブン・ジャパンでは、生活者が時間帯や状況に応じさまざまなメディアやプラットフォームを組み合わせて情報を取得している現状を踏まえ、マーケティングを展開しています。最近は、ターゲット別の時間帯・状況に応じた統合型クロスメディア戦略の一環でオンライン動画広告を採用。認知獲得の狙いで実施されることの多い 6 秒動画のバンパー広告を、来店および販促目的で活用した背景はどのようなものなのでしょう。
生活者とプラットフォームの特徴をとらえ、想定売上上昇率の 2 倍を達成した「朝セブン」
今年の 3 月 8 日 〜 31 日に実施された「朝セブン」は、通勤・通学時間帯の来店の定着化とコーヒーとパンの合わせ買いによる売上向上をめざした販促キャンペーンです。朝 4 時 〜 11 時の時間帯に、セブンカフェ(コーヒー)と人気のパン 8 種類から選べるセットを 200 円(税込)で販売しました。想定ターゲットは 10 〜 60 代以上の男女と幅広いなか、特に販売強化を狙った層は 20 〜 30 代の男女です。従来のキャンペーンではこの層にはテレビ CM だけでは想定したリーチが獲得できなかったことから、YouTube 動画広告の活用を決定しました。
図: インターネットユーザーにおける現在の YouTube 利用者の割合 1
(年代別の YouTube 利用動向は “YouTube Human Stories - ユーザー分析から見る YouTube の今” を参照)
「情報が溢れる現代、情報の取捨選択に疲れている生活者には、朝セブンという提案型の商品が受け入れられるのではと仮説を立てました」(株式会社セブン-イレブン・ジャパン 商品本部 販促企画部 総括マネジャー 宮地 正敏 氏)。「朝セブン」を実施した 3 月は、特に 20 〜 30 代にとって変化の季節です。就職や転職、転居などにより接触メディアも変わるなか、いかに情報を届けるかが課題でした。
「生活環境は変化しても、手元には常にスマートフォンがある。スマートフォンで YouTube を見る人が多いことはわかっていました。メッセージは『朝セブン』、『パンとコーヒーがセットで 200 円』というシンプルなもの。これを伝えるため、特にスマートフォンでのターゲットリーチ力がある 6 秒動画のバンパー広告を実施しました」(宮地氏)
図: スマートフォンからの YouTube 月間訪問者数 2
キャンペーンを手がけたメディア広告企画担当の井手口 美紗氏はこう語ります。「前提は来店促進という目標。ターゲットごとに適したメッセージを明確にするため、20 〜 30 代の男性・女性向けに 2 パターンのバンパー広告を作成、配信しました。その結果、広告配信数こそ男性が多いものの、クリック率は女性がより高く、特に金・土・日曜日に高まることがわかりました。」
<20 〜 30 代の女性向けバンパー広告>
<20 〜 30 代の男性向けバンパー広告>
3 月のキャンペーンの成功を受け、 5 月 10 日〜 5 月 31 日にも同様のキャンペーンを展開。前回の成果分析から、ターゲットを女性とし、「恋愛」、「告白」、「イケメン」というテーマでバンパー広告を制作し、前回キャンペーンでクリック率が高かった金・土・日曜日を中心に広告を配信。その結果、女性の売上増加が確認できました。
図:バンパー広告 実施前、実施期間中で比較した
1 日あたりのセブンカフェの売上増加率3
認知獲得のために活用されることが多いバンパー広告も、行動を促すシンプルでわかりやすいメッセージを打ち出すことで店頭販促にも貢献することがわかりました。
ターゲットの特徴をつかみ、マーケティングにデジタルを積極活用
デジタルをマーケティングに取り入れる理由について宮地氏に聞きました。「テレビ CM だけでは、積極的にデジタルを活用する 20 〜 30 代層には届きません。デジタルに関してはチームの若いメンバーが詳しく、何よりもターゲットと同世代です。そこで、一定の条件をつけつつ、権限と予算を移譲して自由な発想で取り組んでもらいました。新たな施策については失敗しても構わない。チャレンジなくしては成功もないからです」
部署全体をまとめるにあたり、目標設定と管理は PDCA(Plan/Do/Check/Act)を軸にしました。「マーケティングに基づいた仮説と目標設定(Plan)に対し、計画に沿って実行(Do) し、結果を検証 (Check)、改善課題を明確にして次の行動(Act)に繋げる。たとえば今年は、広告への反応を把握するため、過去に実施した約 1,000 のオンライン広告をターゲットごとに分析しました。このような定量データに加え、ターゲットへのヒアリングなど定性調査もあわせて行います」(宮地氏)
宮地氏はさらにこう続けます。「今年はトライアンドエラーの年。経済産業省の消費インテリジェンス研究会が提唱する ”他律的4”な消費傾向の高まりを踏まえ、デジタルでさまざまな提案型情報発信に挑戦します。オンライン動画広告も積極的に活用したいですね」