マーケターはカスタマー ジャーニーについて熱心に議論します。マーケターの最大のミッションは、人々を購入経路に導き、認知から比較検討、購入意向、購入行動へと至る一連の段階に誘導することなので、当然とも言えます。一般的に、購入に至るまでの期間は数週間ですが、ときには数か月を要することもあります。「購入経路の入口から出口まで、わずか数日間で誘導できないだろうか」
この仮説が、1 月のグラミー賞というイベントに向けて Pixel 2 / Pixel 2 XL のマーケティング チームが取り組んだテーマです。この課題に向けて、私たちは購買ファネル全体を対象とした総合的な YouTube キャンペーンを展開し、満足な成果を達成しました。
米国のミレニアル世代の 3 分の 1 人以上がこのキャンペーンを視聴しました(*1。これは 2017 年のスーパーボウルを視聴したミレニアル世代よりも多い数です(*2。また 45~54 才の視聴者層におけるブランド認知度は 20% 伸びました(*3。「Pixel camera」に関連する Google 検索も 145% 増加、Pixel のコマーシャルに関連する検索数は 340% も増加しました(*4。注目に値するのは、購入サイトにユーザーを誘導するクリック率が、他のキャンペーン平均と比べこのキャンペーンでは 113% も高かったということです(*5。
このキャンペーンに成功をもたらしたのは、以下の 3 つのポイントです。これは他の事例にも応用可能です。
1. 仮説とデータが相反する場合、データを重視する
マーケターが商品を告知するとき、まず商品を起点として企画を立てます。特長や便利な使い方をうまくアピールすれば商品の良さを伝えることができ、購入を検討してもらえます。
しかしこの手法は、注目を集めるという観点からは、必ずしも最善とは言えません。実際に私たちのチームが調査結果を詳しく調べたところ、スマートフォンなど高額の商品の購入に関しては、理論ではなく感情で購入を決めることが多いと判明しました。
そこでわれわれは、このインサイトを活用して、見出しで注目を喚起する広告「The Picture Perfect Life」を制作しました。「question your lens」 (あなたの目から見えない世界を楽しみましょう ) というメッセージを投げかけるこの広告は、電話番号そのものよりも「自殺防止」という重要な社会問題について訴えかけるものです。この力強いメッセージをできるだけ多くの人々に伝えるため、モバイルとパソコンの YouTube マストヘッドでキャンペーンを展開し、さらにグラミー賞のテレビ放映時にも放送しました。
2. ターゲットは大きく広げて絞り込む
グラミー賞のような大規模なイベントでは、多種多様な情報が行き交います。1 つの広告で関心を引き付けることができても、それは長続きしません。そこで採用したのが、最初に大規模にリーチし、その後追跡するという戦略です。
まずマストヘッドで幅広くリーチし、さらに力強い広告メッセージで話題を集めます。そのうえで、マストヘッドを見た人や Google ストアで Pixel のページを閲覧した人に向けて、電話のカメラ機能に焦点を当てた 6 秒間や 15 秒間の広告を配信しました。さらに、詳しい情報を Google で検索するよう動画広告を使って働きかけ、検索広告から商品サイトに誘導するという計画です。
購買ファネル全体を網羅するキャンペーンには、多くの不要な情報が紛れ込みます。このため、短期間で認知から購入へ導くには、メッセージを繰り返しアピールする方法が最も効果的だといえます。