企業のマーケティング事例と関連するキーワードを手軽に学べる連載「事例で学ぶキーワード」。初回は、積水ハウス株式会社によるコネクテッドテレビ広告を活用した事例を基に解説します。
事例:「テレビ画面」でも関心層へのリーチと PDCA ——積水ハウスのコネクテッドテレビ広告に学ぶ
インターネットに接続できる「コネクテッドテレビ(CTV)」の登場で、テレビ画面でオンラインコンテンツを楽しむ人が増えています。それに伴いテレビ画面は、広告の配信面としても注目を集めるようになりました。
2021 年に積水ハウスは、テレビ CM と同じ素材を流用して CTV 向けの YouTube 広告(YouTube CTV 広告)として配信しました。
同社の狙いは「関心層への訴求」と「地上波テレビを見ない層へのリーチ」です。
テレビ画面でありながら、デジタル広告のようにセグメントを絞って配信できるのが YouTube CTV 広告の特徴です。家の購入に関心のある「25 歳〜 34 歳」「35 歳〜 44 歳」で「不動産への関心度」が高いグループに配信した結果、CTV を含まない過去の YouTube 広告と比べて、相対リフト値が 1.8 倍に向上しました。
またターゲットリーチの内、テレビ CM とYouTube CTV 広告の重複分はわずか 0.8%。つまり、CTV への配信によって普段地上波テレビを視聴していない層にもリーチを広げられたということです。リーチ単価でも、YouTube CTV 広告はテレビ CM より 28% 安く効率的にリーチできました。
加えて、広告効果を精緻に分析できるのも YouTube CTV 広告の強みです。
今回対象とした「不動産関心層」を詳しく分析したところ、「ペット愛好家」「フィットネス好き」といった、事前に想定していなかった層からの反応率が高かったことが明らかになりました。このように、潜在顧客のニーズを発見し、より効果・効率的な訴求につなげられるのです。
用語解説:コネクテッドテレビ広告
テレビでインターネットに接続できる視聴環境を CTV と呼びます。
端末(受像機)そのものがインターネットを利用できるスマートテレビのほか、 Chromecast やゲーム機のような外付けのネットデバイスとつなげる場合もあります。CTV の普及によって、YouTube をテレビ画面で 楽しむ人も年々増加。2023 年 6 月時点で CTV での YouTube の月間ユーザー数は 3,800 万人を超えました(*1)。
そしてこうした CTV を配信面とした広告が「CTV 広告」です。
大画面で迫力ある映像を楽しめる、誰かと一緒に視聴しやすい(共視聴)といったテレビ画面ならではの視聴態度を活かすことで、高い費用対効果(ROAS)が期待できる配信面です。