第 1 回で、YouTube がどの程度日本人の生活に根付いているかをご紹介しました。今回は、「 母親 」に着目し、どのような時に YouTube を利用しているか、具体的にみていきます。
日々、子育てや家事だけではなく、自分のやりたいことに時間を過ごしている母親はどのように YouTube を使っているのでしょうか。母親 1 の 72% が、現在 YouTube を利用していると答えています2 。さらに利用者の 43% が、YouTube を利用する日は 30 分以上視聴しています 2 。
図:母親の YouTube 利用状況
一般に、夜視聴されることが多い YouTube ですが、母親たちは日中から時間を見つけては YouTube を利用しているようです。
母親の YouTube 利用者に利用シーンを聞くと、 「 日中、自宅でまとまった自由時間があるとき 」 が 40% と、男女全体の 33% よりも高い傾向でした 2 。 「 ちょっとした空き時間に 」 は、男女全体では 22 % ですが、母親の場合は 37% と高い結果でした 2 。また、 「 寝る前に布団の中で 」 は 20% と男女全体の 19% と同水準でした 2 。
母親の YouTube 利用者の 84% は、モバイルデバイス ( スマートフォン もしくは タブレット ) を使って YouTube を見ています 2 。男女全体の 66% に比べると、母親のモバイルデバイスの利用比率の高さが目立ちます。
利用シーンやデバイス状況から、家事に子育てにと慌ただしい母親が、自分の時間をうまく見つけて YouTube を利用している姿が想像できます。
図:母親の YouTube の利用シーン
さらに、定性調査 3 の結果から、母親が普段どのように YouTube を使っているのか、より具体的に見てみましょう。
よくある利用シーンのひとつが、くつろぎタイムのお供です。ある対象者の母親はこう語ります。
「 昼食後にソファでごろんとなって休憩しながら、スマホで動画を探します。ミュージックビデオや話題のおもしろ動画もそうだけど、化粧品や泡洗顔など、自分が必要としていたり、興味があったりする商品が出てくると気になります 」
また 、「 関連動画を続けて見たり、ホームに戻って急上昇のランキングから話題の動画をチェックすることも多いですね 」 と YouTube 内を自由に回遊しているようです。家事に子育てに忙しい毎日を前向きに過ごすため、YouTube を役立てているのでしょう。
さらに、母親としての自分のニーズをうまく満たすために YouTube を視聴していることもわかりました。
「 冷蔵庫の食材を見て、たとえば大根があったとします。で、YouTube で ” 大根の煮込み ”、” 大根 オイスターソース ” といったキーワードで検索して動画を探します。こう切ればいいと具体的かつ直感的にわかるので、文字だけのレシピよりイメージしやすいですよね。子供のお弁当作りの参考にもしています 」
「 お菓子だと、日本だけじゃなくて、海外の人がアップしている動画も見ます。英語はわからないけど、動画なら見ればわかるので。日本にない材料を使っていると検索してみたり、関連動画も出るのですごく便利 」
子供と気軽に接するきっかけとしても、 YouTube は一役買っているようです。子供と一緒に YouTube を楽しんでいることもわかりました。
「 調べ物をするために、娘と学習動画などを見ることもあるんですよ。私は教えられないので娘と一緒に、とくに算数や理科。授業で発表しなければならなくて、星や天体について調べました。一緒に視聴していても、娘のほうが理解が早いので感心して見ています 」
「 話題のダンス動画とか、ブロックの組み立て方なんかもあったりして、一緒に見て学んでいます 」
次の声に象徴されるように、母親にとって YouTube は、” 子供の興味に寄り添い、結果として子供との距離感を縮めることができる ” 存在にもなっているようです。
「 息子が少し大きくなり、距離ができるようになってしまったので、息子が好きな YouTuber の映像やサッカーの試合の動画を隣で見て、いろいろ教えてもらっています。動画がコミュニケーションのきっかけになって、そこから、『 学校はどう? 』といった会話にも発展するんです」
家事や育児に忙しい母親にとって、YouTube とはどのような存在なのでしょうか。
それは、常に身近にあり、自分の好きなタイミングで好きな動画を見て気分を変えるツールであるとともに、新しい料理などの知りたいことの探求、子供とのコミュニケーションのきっかけにもなっています。母親たちは YouTube を自分や家族との暮らしをより豊かなものにするために役立てているようです。