生活のなかにモバイルが浸透した結果、いつでもどこでも自由にコンテンツを楽しむ人が増えてきました。特にモバイルで動画を視聴する人は増え続けており、2017 年第一四半期の日本の YouTube の視聴時間の 70% はモバイルとタブレットから1 となっています。 このようなモバイルユーザーに対して、動画で効率的に幅広くリーチし、メッセージを届けることの重要性が増しています。今回は、比較的短時間でコンテンツを楽しむ傾向のあるモバイル経由の動画視聴者の特徴に合わせ、2016 年末に発表した 6 秒動画広告であるバンパー広告の事例を見ていきましょう。
バンパー広告の 3 つの特徴
1: ブランド効果の拡大
バンパー広告はスキップできない 6 秒の動画広告で、ブランド効果測定における 「 広告想起率 」 「 ブランド認知度 」 「 検索上昇率 」 を高める目的で開発されました。 TrueView 動画広告と併用することで、総合的なブランド効果の獲得が期待できます。
2: リーチを最大化
広告視聴単価制の TrueView 動画広告とは異なり、バンパー広告はインプレッション単価制を採用しているため、より多くのインプレッションを獲得するように配信されます。
3: モバイルに最適化
モバイルに優先的に配信されます。また、画面サイズが小さく、比較的短時間でコンテンツを楽しんでいるモバイル端末に対しては、 バンパー広告が効果を発揮します。
上記の特徴を活かしてバンパー広告を実施した 3 つのキャンペーン事例から、活用するにあたっての秘訣を考えます。
事例 1 : ソニーネットワークコミュニケーションズ “ NURO ”
ソニーネットワークコミュニケーションズは NURO というブランドで光回線インターネットを提供しています。現ユーザーは映像クリエイターなど大容量データを扱う専門職が中心のため、一般生活者におけるブランド認知が低いことが課題でした。この層での認知および利用率を高めることを目標にマーケティングを行なっており、今回は特に、NURO というブランド名を印象づけることのみに焦点を絞り、インパクトのあるクリエイティブを全 13 パターン制作しました。
( 歯磨き編、お茶編、蛇口編、最先端な感覚、囲碁解説、女子高生、 クリエイティブな感覚、天気予報、将棋の対局、ニューアフロ、ニューヒーロー、お風呂 )
3 ヶ月にわたり YouTube でバンパー広告を配信した結果、インプレッション総数は 1932 万、 578 万 ユニークユーザー ( UU ) を獲得、UU の モバイル比率は 64% でした。モバイル と PC の重複リーチはわずか 10.3% に抑えられ、効率よくリーチを獲得することに成功しました。また、広告想起率、ブランド認知、サーチリフトのすべてで、下記のように高い結果を出すことができました。
事例 2 : Hulu 『 アウトキャスト 』 プロモーション
Hulu では、新作タイトルの配信時に、その作品の認知をいかに効率よく獲得するかが課題でした。今回は、『 アウトキャスト 』 配信時に、ターゲット層 ( 男女 20 代 - 40 代 ) へのリーチを最大化し、タイトル名や配信開始時期を訴求する目的でバンパー広告を実施。その広告想起率を、同時期に同程度の広告費で実施した TrueView インストリーム広告と比較することで、バンパー広告の効果を検証しました。
バンパー広告の広告想起率は、比較対象の TrueView インストリーム広告と同程度の 約 30% でしたが、CPM は 33% 低く、ユニークリーチはが 2.27 倍という結果でした。さらに、TrueView インストリーム広告とバンパー広告で重複したユニークユーザーは 5.8% 、バンパー広告におけるモバイルと PC の重複は 11% となり、効率よくリーチを獲得するに至りました。
Hulu の長谷川夢重氏は、「 新作タイトルの認知を低コストで実現するというプロモーションの意図に近づけることができました。プロモーション立ち上げ時はバンパー広告で認知を獲得、新作タイトル配信後は 30 秒の TrueView 広告でコンテンツの中身を訴求するというパターンが、最も有効だと考えています。今後は様々なターゲティングや、 TrueView 動画広告およびマストヘッドとの組み合わせの中で、ベストなメディアプランを見つけることが重要 」と述べています。
事例 3 : YouTube の 「 好きなことで、生きていく 」 キャンペーン
YouTube では、「 好きなことで、生きていく 」 キャンペーンを 3 つの時期に分け、 TrueView インストリーム広告とバンパー広告を組み合わせて実施しました。
フェーズ 1 : ティザー
TrueView インストリーム広告を先駆けて配信することでクリエイターのストーリーを伝え、YouTube への理解と共感への下地を醸成する
フェーズ 2 : 拡大期
バンパー広告を実施しリーチを最大化。 TrueView インストリーム視聴者への重複接触による興味 ・ 関心 ・ 共感の深化を狙う
フェーズ 3 : リピート
拡大期とは異なるクリエイティブでバンパー広告を実施。すでに広告を認知している視聴者を含め、さらなる認知の拡大を目指す
全 11 パターンののバンパー広告を制作し、フェーズ 2 と 3 で異なる広告を配信したところ、フェーズ 1 の TrueView インストリーム広告のみの結果と比較して 120% のユニークリーチを獲得し、広告想起率を 8.6 ポイント底上げすることに成功しました。
まとめ
上記 3 つの事例から、バンパー広告のポイントを整理します。
- コスト効率が高く、かつ短期間で多くのリーチを獲得することが可能。モバイルへの配信に最適化しており、PC との重複接触も少ない。
- 6 秒という短い時間に合わせた One Message in One Creative が効果的
- キャンペーンのフェーズに合わせ、 TrueView 動画広告と組み合わせることで広告効果の最大化が可能
モバイルでコンテンツを視聴する生活者に対し、短時間で幅広い関心を捉えることができるバンパー広告。ぜひ、上記の秘訣を踏まえて、効果的なブランド施策の一環として活用してください。