人々のマイクロモーメントは、置かれている状況に応じて、刻一刻と変化します。そのモーメントを捉えるには、個々の好みやニーズ、状況を踏まえたメッセージを届けなければなりません。テクノロジーの進化に伴い、環境変化とそれに伴う生活者のシグナルをリアルタイムにとらえることが実現可能となりました。日本マクドナルド社の事例から、アイディアとヒントを見ていきましょう。
高まる「マイクロモーメント」の重要性
モバイルデバイスの普及によって、生活者の行動は大きく変化しました。何かについて「知りたい」「行動したい」「買いたい」と思ったとき、スマホなどの目の前にあるデバイスで調べる習慣(マイクロモーメント)が身についています。
モバイルから次々に発生するマイクロモーメントは重要なビジネスチャンスでもあります。生活者が情報を欲している瞬間に必要な情報を即座に届けることができれば、ブランド認知や好感度を高め、新たな購買ニーズの発掘や、購入・利用の提案が可能となり、生活者の行動を促すことにつながります。
そのためには、その人にマイクロモーメントが発生した動機を踏まえ、状況に即した形で届けることが重要です。常に変動する外部環境要因は、その人が置かれている状況を理解する上で大きな手助けとなります。同じ「喉が渇いた」というひとつのニーズも、気温が高く晴れた日に求めているものと、強い風が吹く寒い日に求められているものでは変わってきます。
グーグルでは、このような外部環境変化に応じたメッセージを生活者に届けることをReal-time Data-driven Creativeという新たな仕組みにより可能としました。
ダイナミックな広告配信システムReal-time Data-driven Creative
Real-time Data-driven Creativeとは、刻々と変化する天候データなどの外部指数データをGoogle Cloudに蓄積し、Double Clickを通じた広告配信システムと連携させることで、取り込んだ外部データに合わせて変化する広告クリエイティブを配信する仕組みです。
この仕組みは、生活者のマイクロモーメントに関連性が高いメッセージを配信したいという高まるニーズに応えるために構築しました。Open Weather Mapや天候や気温に基づいて指数化されたデータを提供する天気予報APIのデータを活用することによって、現在では4カテゴリの指数データを利用できます。
外部データの蓄積から、取り込んだデータと連携した広告配信まで、一貫してGoogleが提供する技術で対応しているため、One Stop Solutionを実現。生活者のマイクロモーメントを捉えたクリエイティブは、通常の静止画バナークリエイティブに比べ、約3倍のCTRという高いパフォーマンスを示しています。
データと連動し生活者のマイクロモーメントを捉えた日本マクドナルドの事例
日本マクドナルドでは、新しいたくさんのバリエーションのあるカスタマイズメニューのローンチ時に、ライフスタイルカテゴリの天候インデックスを利用したキャンペーンを実施しました。
全国の店舗の売上げデータと天候データを用いて、いつどこでどの商品が売れているのか、そして天候に応じてどの商品が売れるのか、ということをリアルタイムで分析したのです。さらにスマートフォンのデータからそれぞれの生活者の状況に最適化したおすすめ商品のバナー広告を自動的に生成・配信しました。例えば、夏の暑い日には冷たいアイスコーヒーについて、また新商品で話題のハンバーガーについては注目を集めている旬の時期を逃さず、メッセージを届けたのです。最終的には25,000種類以上のバナーが作成され、ひとりひとりにピッタリのおすすめ商品バナーが配信されました。
また、ユーザーにはバナー広告と同時に、表示されている商品のデジタルクーポンを配信し、店頭に誘導する仕組みも整えました。その結果、本キャンペーンではクーポンの利用率は通常のケースに比べ1.5倍となり、売上増にも貢献しました。(詳細は動画をごらんください)
Real-time Data-driven Creativeを活用してMicro-Momentを捉える
61%のモバイルユーザーは、モバイルで関連性の高い適切な情報やメッセージを受け取った結果、表示されているブランドや製品を購入した経験があると答えています。1
個々のユーザーの状況やニーズは、外部環境からの刺激に加わり刻々と変わります。モバイルで常に情報にアクセスできる今、リアルタイムでその変化を捉え、ユーザーに発生したマイクロモーメントを見極めた上で、意図に合わせたメッセージを届けることの重要性がいよいよ増してきました。その積み重ねにより、最終的にビジネスへのインパクトを高めていくことができるのではないでしょうか。