ブランドにとってデータは極めて重要な資産です。データを活かしてインサイトを深め、行動し、さらに成長を続けるための秘訣をご紹介します。
1: 蓄積し、統合する
今の時代のマーケターは、日々膨大なデータに取り組まなくてはなりません。おびただしい数のデバイスやタッチポイント、そしてチャネルを流れる無数のデータの断片から、意味を読み解かなくてはならないのです。単にデータの量が問われているだけではありません。コンサルティング ファーム NewVantage Partners の CEO である Randy Bean 氏は、ビジネス ジャーナル『MIT Sloan Management Review』記事中で、現代のブランドがかつてないほど多くのデータソースを統合しなければならなくなっていることに触れ、「多様性のハードル」と名付けました。1
しかし、業界トップの企業ですら、データの蓄積と統合という重要な課題には頭を抱えています。
"膨大なデータが、多様なソースから流れ込んできます。データの保管場所やフォーマットもさまざまです。これらのデータをまとめるために必死です。(プログレッシブ社のデータ・解析担当ビジネス リーダー Pawan Divakarla 氏)"
3 月に創業 80 周年を迎える自動車保険の大手プログレッシブ社も、そのひとつです。同社のデータ・解析担当ビジネス リーダー Pawan Divakarla 氏はこう語ります。「膨大なデータが、多様なソースから流れ込んできます。データの保管場所やフォーマットもさまざまです。これらのデータをまとめるために必死です」。とはいえ、Divakarla 氏のチームはこの課題をみごとに乗り越え、データの集約、統合、安全化を成し遂げました。その秘訣は「データをリスペクトすること」だと語ります。
プログレッシブ社は、データを重要視し、エンタープライズ向け解析ツールを使いこなすことにより、継続的なユーザーエクスペリエンスの改善に役立つインサイトを得ました。このことは、同社と顧客双方の時間と費用の削減につながりました。
正しく整理されたデータが成果をもたらします。情報をインサイトに変えるために、データ統合に注力してください。既存のプラットフォームと連携可能な新たなテクノロジーを見出し、データの収集、処理、保存を合理化すれば、より効果的にカスタマー ジャーニーを見渡すことができるでしょう。
2: 役立つインサイトを掘り起こす
今の時代は、アナリストが処理しなければならないデータ量も、そのためのソリューションの選択肢も膨大なので、インサイトを掘り起こすための煩雑なプロセスに怯むのは当然です。しかし、価値あるインサイトが得られたなら、今後の意思決定を実りあるものにできるはずです。
それでは、どうすればよいのでしょう。
重要なことは、正しいツールによる装備です。データを的確なインサイトに変えるには、最適なツールを手にしているかどうかが決定的です。最新のテクノロジーと機械学習を最大限に活用すれば、テーマやパターンを効率よく見出すことができ、想像もしなかったインサイトに巡り合って成長に役立てることができます。プログレッシブ社もそうでした。ローンチ当初、同社のモバイルアプリは見積もり算出の機能しか備えていませんでした。しかし、Google アナリティクスのデータを分析して、アプリから直接保険を購入したいという意向のあるユーザーが多いと気付いた結果、同社はアプリ内購入という新たな機会を発見しました。
解析担当チームや広告会社に、どんなツールをどのように使っているのか確認してみましょう。Google アナリティクス 360 スイートを活用することで、既存の解析ソリューションを、単なるデータ配信元からインサイトの源へと進化させることができます。
3: データをアクションへ変える
データは、実際のアクションに反映して初めて真価を発揮します。業界をリードするブランドは、重要なインサイトをすばやく行動に移すことが肝要だと知っています。それによって意思決定の質が高まり、アクションを促進し、競合他社と差別化することができるからです。
では、これらのブランドが重視するポイントは何でしょう。
ひとことで言えば、それは「コミュニケーション」です。業界屈指のブランドにおいて、「数字いじり」は裏方の雑務ではなく、むしろデータこそが組織の共通言語なのです。とはいえ、社員全員がアナリストになる必要はありません。たとえば Macys.com では、組織のどんなレベルのスタッフでも、必要なデータを自由に利用できるよう、データや解析のスペシャリストたちが率先して環境を整えています。「たとえデータ サイエンスの専門家でなくても、マネージャーはシンプルで効果的な問いを投げかけることができます」。そう話すのは、Macys.com でマーケティング分析およびディシジョン サイエンス担当副社長を務める Nur Ghani 氏です。同氏が推奨するのは、解析担当の役員が組織内のさまざまなチームと組んで KPI を設定し、各チームの目標達成のためにデータ・解析部門ができることを模索するアプローチです。社内のあらゆる階層において、共通の言語としてデータを用いることで、目標の設定から達成に至るまでのどの段階でも、データを存分に活用することができます。
たったひとつのインサイトから組織の変革が始まることもあります。戦略立案にあたってデータが果たす役割と、その過程で得られる成果や学びについて、マネージャーやチームと共有しましょう。成長への目標や KPI を見極めつつ、データを有効に活用することで、最も効果的なクリエイティブを、最適なオーディエンスに対して正しいタイミングで届けることができるのです。
「How Analytics and Machine Learning Help Organizations Reap Competitive Advantage」から、効果的なデータ運用と迅速なインサイトの獲得について、詳しくご覧いただけます。