YouTube のほか、TVer や ABEMA などビデオオンデマンド(VOD)サービスの視聴が伸びているのに合わせて、VOD は広告の配信面としても注目度が高まっています。
一方で、VOD への広告配信(OTT 広告)における課題の 1 つが、メディアごと個別に広告を買い付けた場合に、デバイスやメディアを横断したプランニングや管理、計測ができないことでした。
それを解決するのが、Google の統合配信プラットフォーム「ディスプレイ&ビデオ 360(DV360)」です。YouTube 広告をはじめ、複数の OTT 広告や音声広告といったデジタル広告とテレビCM の最適な組み合わせによって、リーチを最大化するプランニングが可能です。加えて、広告の買い付けや、クリエイティブ、オーディエンス、予算などをメディア横断で管理、計測できます。
今回は、DV360 を活用した OTT 広告の配信でマーケティング目標を達成した 3 社の事例を紹介します。
アサヒ飲料は複数メディアを活用し、リーチ最大化を実現 —— OTT 広告の効果をクロスメディア リーチレポートで可視化
アサヒ飲料株式会社は、緑茶ブランド「颯(そう)」の新発売キャンペーンとして「爽快な緑茶」を表現した広告を制作。テレビ CM の放映に合わせて、DV360 から YouTube、TVer、ABEMA へ動画広告を配信しました。
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前述のとおり、DV360 は複数のメディアを横断して効果を測定できます。デバイスや環境(Web、アプリ)をまたいで同一ユーザーを認識できるため、ユニークユーザー数や、特定のメディアで獲得できたユニークリーチ(排他的リーチ)の計測も可能です。
颯の事例では、TVer への配信における 85% が他メディアと重複のない単独での排他的リーチでした。
またテレビ CM とデジタル広告のリーチを分析するにあたって、同社は、Google が 2023 年 9 月から提供している DV360 内の「クロスメディア リーチレポート」を活用しました。
クロスメディア リーチレポートでは、デジタル広告とテレビ CM を横断して、オンターゲットリーチや重複リーチ、フリークエンシーなどを確認できます。テレビ CM と YouTube 広告のデータを横断して計測できるだけでなく、TVer や ABEMA などの OTT 広告や音声広告を統合して計測、分析することも可能です。これにより、メディアの効果を的確に可視化できます。また DV360 ユーザー自身でレポートを抽出できるのも特徴です。
下図は、総リーチにおいてデジタル広告がどれだけ増分リーチを獲得したかを示したものです。18 歳 〜 34 歳を中心にリーチを獲得できていることがわかります。OTT 広告へと配信面を広げたことで、若年層へ効果的にリーチできたことが可視化されたのです。
メディア横断で Google のアフィニティカテゴリを活用、花王「ビオレu」
花王株式会社は、スキンケアブランド「ビオレu」のハンドソープのマーケティングで、マスへのリーチを最大化するために、テレビ CM に加えて OTT 広告の配信を決めました。DV360 を活用して、YouTube、TVer、ABEMA へ配信することで、普段テレビを見る機会が少ないライトユーザー層へのリーチを狙ったのです。
テレビ CM と同一のクリエイティブに加えて、デジタル広告用のクリエイティブも配信しました。
YouTube 広告では、指定したトピックに関心をもつユーザーへ配信できますが、それと同様に DV360 でも「アフィニティ カテゴリ」や「インタレスト カテゴリ」を利用することで広告を届けたい層に配信できます。YouTube 広告、OTT 広告を統合したマーケティング設計が可能なので、複数メディアの効果を横断して評価しやすくなるのです。今回の事例では、「アフィニティ カテゴリ」内の「テレビのライトユーザー」を利用し、YouTube と TVer へ同じ設定で配信しました。
その結果、YouTube と TVer 両メディアとも配信数の 70% が重複しない単体での排他的リーチであることがわかりました。メディアを横断した配信管理によって、効率的にリーチを獲得できたことが可視化されたのです。
NTTドコモ、フリークエンシーキャップ機能で動画広告の効率アップ
DV360 では、フリークエンシーキャップについてもメディアを横断しての設定が可能です。
それぞれの広告を別々に買い付ける場合に生じがちなフリークエンシー過多を避けることができ、ユニークリーチをどれだけ追加で獲得できたかもレポートで確認できます。
この機能を活かしたのが、株式会社NTTドコモです。若年層(18 歳 ~ 34 歳)に新しい企業ブランドイメージを訴求するキャンペーンで、DV360 から YouTube と TVer へ広告を配信。両メディアを横断してフリークエンシーキャップを設定し、視聴完了リーチの最大化を狙いました。
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同キャンペーンでの視聴完了リーチは、目標比で 40% 増を達成。フリークエンシーを最適化したことで 3.4% の追加のリーチを獲得できたことも、DV360 のレポートで明らかになりました。
なお、今回のキャンペーンを通じて同社は、メディアだけではなく、デバイスについても効果を検証しました。インターネットに接続したコネクテッドテレビ(CTV)では、他デバイスと比べて視聴態度が良いという仮説をもとに、CTV に対して優先的に予算を配分したのです。YouTube 広告のブランドリフトをデバイス別に検証したところ、CTV では他デバイスと比べて広告想起が 8% 高いという結果を確認できました。
今回取り上げた 3 社のように、VOD サービスへの広告配信は、新たな顧客へリーチするための効果的な施策になり得ます。DV360 のような統合配信プラットフォームを活用して、メディア横断でのプランニングや買い付け、管理、計測を実現し、適切なキャンペーン設計や予算配分につなげましょう。
Contributor:臼井 颯都 博報堂/博報堂DYメディアパートナーズ プラットフォーマー戦略局 メディアプロデューススタッフ