多くの場合、商品購入検討者の行動は一直線ではありません。何かを探すとき、購入するとき、さまざまなオンラインサイトをまたいで情報をみつけたり、店舗に足を運んでみたり、一旦休んで数日後にまた検索したり。商品購入までの道筋は、どんどん複雑になってきています。
一方で技術の進化によって、このような生活者との様々な接点を正確にとらえ、購入までの経路の貢献度に応じてマーケティング投資を自動で全体最適化することが可能になってきました。さらに、今では広告媒体をまたいだ生活者の購入経路を理解し、マーケティングの的確な投資配分と商品購入検討者の検討段階に応じた適切なメッセージングを自動で行うことが可能になってきました。
機械学習技術を活用し、商品購入検討者へのマーケティング投資を媒体を越えて最適化することで、米国市場での販売数、販売額の両方を成長させたメルカリのマーケティングの事例をご紹介したいと思います。
アプリとウェブサイト幅広く商品を探している生活者にメッセージを届ける
メルカリは、「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」というミッションのもと、アメリカにも進出し、事業を拡大し続けています。
同社では、さらなる事業の拡大を目指し、販売数、販売額の両方を押し上げることを目指していました。そこで、同社が注力したのは、対象母数の多いウェブサイト経由で、商品を探している生活者にメッセージを届けることです。最終的にはメルカリのサービスを認知してもらい、アプリをダウンロードしてもらうことも大切ですが、競合の多い市場では、効率的に事業を拡大できると考えたからです。
メルカリの狙ったウェブサイト経由の事業拡大
そこで、同社ではウェブサイト経由での販売を拡大すべく、下記を行いました。
①詳細情報を含むショッピング広告をマーケティング投資の費用対効果を最大化する設定で活用
この施策により、設定した売上目標に応じてマーケティング投資を最適化できました。また、ここで先述した最終的に購入につながった接点(クリック)だけでなく、購入経路全体から接点ごとの貢献度に応じて評価を自動的に配分し、自動入札に活かすことができるデータドリブン アトリビューションと呼ばれる技術を導入しました。
データドリブン アトリビューションの考え方
②(動的)検索広告にもデータドリブン アトリビューションを応用し、検索とショッピング広告でキャンペーンタイプをまたいだマーケティング投資の最適化
データドリブン アトリビューションを導入することで、これまでラストクリック評価では販売の貢献度が低かった動的検索広告も間接的に販売に寄与していることが可視化できました。そこで、同社では動的検索広告を再開し、検索とショッピング広告でキャンペーンタイプをまたいだマーケティング投資の最適化を実現しました
これにより、既に具体的な商品名を検索している、商品購入直前という見込み顧客だけでなく、まだ商品名ではなく、カテゴリー名やブランド名で検索している顧客にまで予算を貢献度に応じて最適配分することができました。
結果として、販売数 +15%、販売額 +19% と、成果を上げることに成功しました。
メルカリの事業成長
上記を行うことで、広告運用を機械学習に任せることが可能になり、限られた米国進出リソースを、より付加価値の高い、人間にしかできない分析に回す狙いも達成することができました。
次のステップとしては、Google アトリビューションを活用し、ショッピング広告と検索広告だけでなく、動画広告、アプリ広告、ディスプレイ広告など、あらゆる広告媒体をまたがった投資の最適化を目指しています。
技術の進化によって、複雑な購入経路を広告媒体をまたいで正確にとらえ、貢献度に応じてマーケティング投資を自動で全体最適化することが可能になってきました。これが、貴社にとって最適なマーケティング投資について考えるきっかけになれば幸いです。