インバウンドという言葉もすっかり定着してきました。海外から日本への旅行者は増加を続けています。日本政府観光局(JNTO)の統計によると、2012 年には約 835 万人だった訪日外国人数は 2018 年(12 月時点)には史上初めて 3,000 万人を突破しました。(*1)
企業にとってインバウンド市場は、狙うべきビジネスチャンスとなる一方、何をどのようにすればよいのか?成功につながるマーケティング戦略の模索も続いています。
本事例の KNT - CT グローバルトラベルでも、これまで蓄積したインバウンドマーケティングに対する知見を活かしつつ、ホテル広告という新たなソリューションを導入したことで、インバウンド需要を捉えることに成功しました。
ホテル広告導入の背景
ホテル・旅行業界におけるトレンドの 1 つは、インバウンド市場の拡大、ということは先に述べたとおりです。それに加えて旅行サービスは世界全体で急速にオンライン化が進んでいます。実際に、オンライン旅行予約は世界で 2018 年から 2026 年にかけて年平均成長率 12.1% 増という予測がされています。(*2)
こうしたインバウンド旅行客の増加、オンライン経由での予約が増加する中、KNT - CTグローバルトラベルは取扱い宿泊施設などを Google で検索している見込み旅行客に価格、空き状況など含めて簡単に提示できる Google ホテル広告 (*3)に注目しました。
これによって、次のメリットがあります。
・自社旅行商品在庫を簡単に見込み旅行客に伝えることができる
・Google 検索を使う人全員という非常に大きな新規集客販路が見込める
施策のポイント
当初は初めての施策だったので、まず同社の販売実績や市場性から配信地域をアジア 4 か国に絞り込みました。
ホテル広告配信のうえで、もう一つ重要な施策ポイントとなったのは、広告対象となるホテルの選定です。同社では広範な宿泊施設の在庫を扱っているため、配信先のアジアの国々からの旅行客に合った商品として、価格競争力が高いホテル(約 2,400 件)に絞った広告配信を決定しました。また、同社の特徴も、配信国の言語に合わせて表示しました。
Google ホテル広告の掲載例
(「YOKOSO Japan 」は同社が運営する訪日旅行者向けWeb サイト)
成果
KNT - CT にとっても初めてのインバウンド向けホテル広告でしたが、想定以上の成果が確認できました。
前年同時期の Google 広告(ホテル広告導入前)と比較した場合、売上は 176.4% 増加、また 新規の顧客獲得経路を活用したことで、新規顧客率は 76% も高くなっていました。(*4)
図:ホテル広告導入前後での成果比較
今回の成果は、ビジネスとして良い数値を得られた、ということだけではありません。ホテル広告は広告文がないなど運用がシンプルで、少ないリソースで効率よく予約(コンバージョン)が獲得できます。そのため、空いたリソースをさらなる成果の拡大に使えると同社では考えています。
今回のキャンペーンを担当した株式会社 KNT-CT グローバルトラベル 大野 氏
「インバウンド市場をどのように拡大していくか、予算や人的リソースも限られた中で最大の効果を求める、という意味では今回のホテル広告はとても良い方向性を示してくれたと思います。
売上の増加や、新規獲得など、数値的にも一定の効果が確認でき、今後の売上拡大につながる様々なヒントが得られたことも大きいと感じています。また、新たな顧客層をみつけられる、Google 検索ユーザーの数と層の厚さは Google ホテル広告を利用する 1 つのメリットだと感じました。今回取れたデータを参考に、今後はインバウンド市場の需要を見ながら配信地域の見直しを行うなど、季節や地域に合わせた戦略的なプロモーションを行い、インバウンド市場を更に取り込んでいきたいと思います。」
株式会社 KNT - CTグローバルトラベル 訪日 FIT 支店 課長 大野拓也氏