US 版 Think with Google が 2023 年 3 月に公開した記事を基に日本語に翻訳し、編集しました。
マーケターとの会話で、AI が話題に上ることが増えています。その理由は明らかです。たとえば米コンサルティング会社の McKinsey & Company が、2022 年にさまざまな地域や業界、企業規模にわたって実施した調査(*1)によると、近年 AI が実現する価値は変化しており、マーケティングと販売において最も大きな収益への効果が報告されています。
今回は、マーケターの皆さんから耳にした AI に関する疑問を取り上げます。社会や経済を予測しにくい状況が続く今、マーケターが必要とする効果とインパクトのために、Google 広告プロダクトがどのように役立つかを探っていきます。
マーケターにとって AI はなぜ重要なのか
この数年間、人々は日常生活のあらゆる面でデジタル技術を利用してきました。こうした新しい行動や習慣の多くが定着した結果、マーケターにとっては生活者の動向を予測することがより難しくなっています。そこで、マーケターには膨大な量のデータを分析し、リアルタイムに生活者のニーズに対応することが求められているのです。だからこそ私は、AI がマーケティングにもたらすチャンスに、大いに期待しています。
今まさに、世界中の企業やマーケターへ計り知れない価値をもたらす AI による技術革命が起ころうとしています。これは 1990 年代後半のインターネットの登場や、2000 年代前半のモバイルコンピューティングの台頭に匹敵するものです。
AI の画期的な進歩により、人々とテクノロジーとの関わりが根本的に変わりつつあります。そして同時に、マーケターはより密接かつ一貫した方法で生活者と接することが可能になっているのです。実際、マーケターが AI を活用することで、生活者のニーズやトレンドを理解し、そのインサイトに基づいて、高い投資対効果(ROI)が期待できるキャンペーンを構築している例を目の当たりにしています。
AI を広告でどのように活用しているのか
Google は 10 年以上にわたって AI 開発を続けてきました。AI は、レスポンシブ検索広告のような広告クリエイティブから、オークションの入札を最適化する方法まで、Google 広告の基盤となっています。また私たちは 2018 年以降、責任ある AI への取り組みを先導し、「AI 利用における基本方針(英語)」を公開、更新してきました。
Google では長年、マーケターからのフィードバックや Google AI の飛躍的な進歩に基づいて、Google 広告を中心としたテクノロジーの改善を続けてきました。Google の大規模言語モデル(LLM)が人の言語を理解する能力は 50% 向上(*2)しましたが、これにより Google 広告を利用する広告主のビジネス成果にも貢献しています。たとえば目標コンバージョン単価制のキャンペーンで、従来の完全一致から、AI を活用した部分一致に更新した広告主のコンバージョン数は平均 35% 増加しました(*3)。
また P-MAX キャンペーン は、AI を活用した新しい目標ベースのキャンペーンタイプです。これは、YouTube や検索、Gmail など Google のあらゆるチャネルで価値ある新規顧客と需要を見つけるのに役立ちます。P-MAX キャンペーンを採用した広告主は、顧客獲得単価(CPA)を維持しつつ、平均 18% 多くのコンバージョンを獲得しています(*4)。
米家電量販店の Best Buy も、そのうちの 1 社です。Google 広告のパフォーマンスを向上させることで、ビジネス環境の変化と生活者の新たな期待に応えたいと考えていました。過去に、マーケティング以外で AI アプリを利用した経験があった同社は、P-MAX キャンペーンと検索広告の部分一致という 2 つの Google AI 製品をテストすることにしました(英語)。広範なテストの結果、P-MAX キャンペーンは Best Buy の広告費用対効果(ROAS)を 33% 向上させ、部分一致によりオムニチャネル収益が 42% 増加したことがわかりました。
AI によって、マーケターの役割はどう進化するか
このように AI は強力なテクノロジーですが、一方でマーケターが主導権を握ることには変わりありません。実際、マーケターの役割はかつてないほど重要になっていると Google は考えています。
AI は、マーケターの専門知識と組み合わせることで、企業が潜在能力を最大限に発揮できるよう支援する強力なツールです。マーケティングコストを継続的に削減し、パフォーマンスを向上させ、新しい顧客の発見に役立ちます。AI とマーケターが互いに学習し合うことで、ビジネスの成果を倍増できることがわかりました。ただし、そのためにはマーケターが AI を導かなくてはいけません。予算配分や入札戦略からオーディエンス設計や広告クリエイティブに至るまで、マーケターによるインプットこそが、AI によって最大の ROI とビジネスの新たな成長を実現するための鍵なのです。
AI を活用する未来に向けてマーケターが今できることは
企業規模を問わず、あらゆる企業が AI を活用したマーケティング戦略について考え始めるタイミングに来ています。何から始めるか迷う広告主にとっては、検索広告が AI 活用の大きなポテンシャルを秘めているかもしれません。前述のとおり、これらのツールの多くはすでに提供しており、すぐに活用できるものです。AI は、検索のパワーを解き放つのに役立つテクノロジーであると Google は信じています。