ゲーム市場、特にスマートフォンゲーム市場は急激に成長しています。2019 年の世界のゲーム市場全体は 1520 億ドルと予想されており、うち最大の割合(36%)を占めるのがスマートフォンゲームです。ゲーム市場は今後も、年平均 9% のペースで拡大するとみられており、スマートフォンゲームが占める割合も拡大していくと予想されています(*1)。
では、そんなスマートフォンゲームは、どのくらいのユーザーが、どのような目的で遊び、どのようなメディアに日ごろ接触しているのでしょうか。
Google はインテージ株式会社と共同で、日本、韓国、台湾の 3 カ国におけるゲームアプリユーザーに関する調査を行いました。その結果には過去の記事でも触れていますが、今回は、スマートフォンゲームが浸透している日本と韓国、台湾の 3 カ国の調査データを比較する切り口から前後編に分けて見ていきます。前編の今回は、3 カ国それぞれのゲームアプリユーザーや有料ユーザーの割合、購入金額やその動機を紹介します。
ゲームアプリの有料ユーザーと YouTube動画広告の相性を調査した後編はこちら
なお、今回の調査データは各メディアおよびアプリ起動などの利用ログ分析とオンラインサーベイの 2 種類の方法で取得しました。台湾では、ログ分析を行えなかったため、オンラインサーベイのみのデータを参照しています。
日本では約 50% がゲームアプリを利用、有料ユーザーは人口比 17%
まずは、人口に対するスマホユーザー、ゲームアプリを利用するユーザー、そして有料アイテムを購入するなどで課金を行う有料ユーザーの割合から見ます。3 カ国における調査結果は以下の通りです。
図:日本におけるゲームアプリユーザー動向
(*2)
図:韓国におけるゲームアプリユーザー動向
(*3)
図:台湾におけるゲームアプリユーザー動向
(*4)
各グラフの左から順に人口、スマホユーザー、ゲームアプリユーザー、有料ユーザーのデータ(*5)を並べて、人口を 100% とした時のそれぞれのユーザーの割合を表しています。例えば日本のデータでは 18 歳から 59 歳までの人口を 100% とした場合、そのうちの 83% がスマホユーザーで、49% はゲームアプリのユーザー、17% は有料ユーザーということになります。
さて各国のゲームアプリユーザーの割合を見ると、それぞれ人口比で日本 49%、韓国 37%、台湾 58%。そのうち有料ユーザーの比率は、日本で 17%、韓国では 19%、台湾で 32% となっています。台湾では、日本と韓国と比べてアプリの有料利用がより一般的なことがわかります。
上のグラフでは人口比で有料ユーザーの割合を見ましたが、ゲームアプリユーザーを 100% とした時の各国の有料ユーザーの割合を示したのが次のグラフです。
図:3 カ国におけるゲームアプリの有料ユーザー割合
(*6)
日本ではゲームアプリユーザーの約 35% が有料ユーザーである一方、韓国と台湾では半数以上を占めています。人口比で見れば有料ユーザー比は日本と韓国で同程度ですが、ゲームアプリユーザー内の有料ユーザーの割合は日本よりも韓国の方が高いことがわかります。
上位 10% の有料ユーザー購入額が、全体の 80% 以上を占める
調査では、有料ユーザーからゲームアプリにおける 1 カ月でのアプリ内購入額に関する回答を集計しました。そこで見えてきたのは、購入金額で上位約 10% の有料ユーザーの購入額が、有料ユーザー全体の購入総額の 80% 以上を占めているということ。これは 3 カ国いずれも共通の傾向でした。
図:3 カ国における有料ユーザーの購入金額別割合と、購入総額に占めるユーザー数割合
(*7)
購入金額上位の少数のユーザーが全体の購入総額の大部分を占めるというのは、ゲームアプリ業界では一般的によく言われています。今回の調査でも、ゲームアプリが熱狂的なファン層に支えられていることを裏付ける結果となりました。
3 カ国の有料利用動機、日本では収集欲が上位、韓国ではゲーム攻略効率化
ゲーム内で販売される有料アイテムやサービスはゲームタイトルごとにさまざまですが、ある程度は分類が可能です。3 カ国での購入用途を調べた結果は次の通りです。
図:日本における有料ゲームユーザーの購入用途はアイテム、キャラの入手が多い
(*8)
図:韓国における有料ゲームユーザーの購入用途はスムーズに進める、時間をかけないなど、効率を求める項目が上位に
(*9)
図:台湾における有料ゲームユーザーの購入用途は、ゲームを有利、スムーズに進めるほか、キャラやアイテム入手が多い
(*10)
日本ではキャラクターを集めるといった収集欲が上位に来ている一方、韓国ではゲームを効率的に進めたり、他のプレイヤーとの競争に勝つために購入する傾向にあり、台湾は日本と韓国の中間のような傾向となっています。
後編では、ゲームアプリの有料ユーザーに対して、YouTube 動画広告の活用でどれくらいリーチできるのか、3 カ国のデータをもとに見ていきます。
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