第 1 回 では日本のアプリ利用の特徴をアジア諸国と比較して確認、第 2 回では日本の利用実態を深掘りし、さらに第 3 回では日本のスマートフォンユーザーがどのように新しいアプリを見つけるかについて紹介しました。第 4 回目は、日本のスマートフォンユーザーの利用動向から、アプリを継続して利用してもらうポイントを見ていきます。
第 1 回で、日本人の平均保有アプリ 36 個のうち、毎日使うアプリはわずか 6 つしかないと述べました。残り 30 個のアプリのうち、定期的に利用しているものが 7 個、ごくたまに使うものが 8 個です。それ以外の 15 個のうち 5 個は、かつて使ったことがある ( 現在は使っていない ) アプリですが、 一度も使っていない ( まったく使っていない ) アプリも 10 個あります。
そして、利用中の 21 個のアプリのうち、アップデート情報などの通知機能を ON にしているアプリ数は 18 個にとどまっています。この通知機能は、継続利用を促すために多くのアプリで実装されているメイン機能の 1 つです。
Google と TNS の調査結果では、通知機能に関して好ましいと感じる理由 TOP 3 として 「 とても重要な情報が得られる 」 、 「 アプリのアップデートが分かる 」 、 「 メールよりも管理がしやすい 」が挙げられた一方、好ましくないと感じる理由は 「 アプリの通知が多すぎる 」 、 「 通知内容が自分に関係がないか、重要ではない 」、 「 通知がうっとうしい 」となっています。頻繁すぎる通知や、通知情報の質や有用度が低い場合、アプリの継続利用においてマイナスの結果をもたらすことがわかります。
通知機能の好ましい点、好ましくない点 TOP3
IPSOS との調査でも同様の結果が得られました。役に立つと感じる通知機能として、ネット通販で購入した 「 商品の発送情報 」 や 「 お気に入りに登録している商品のディスカウント情報 」 が上位に、続いて 「 アプリのアップデート情報 」 、 「 買い物や交通機関の最新情報 」 、 「 予約や予定のリマインダー 」が並んでおり、ユーザーは頻繁に使うアプリの情報や自身の行動に即した情報を役に立つと感じている傾向がわかります。
役に立つと感じる通知機能 TOP5
では、アプリが自分にとって役に立たないと感じた場合、スマートフォンユーザーはどう行動するのでしょう。Google と TNS の調査結果では、役に立たないと感じたアプリを毎月平均 1 つは削除していることがわかりました。アプリを削除する理由としては、「 必要ではなくなった、役に立たなかった 」 、 「 質がよくなかった 」 、 「 余り必要としていないものだった 」 、「興味との関心が薄いものだった」 、 「 他のアプリでよいものを見つけた 」 という回答が上位となっています。
アプリを削除する理由 TOP5
削除まで至らなくても、平均保有アプリ 36 個のうち 13 個がほとんど使われていないということも判明しています。一度使わないと感じたアプリの向こう 3 ヶ月の利用可能性については、 45% が「今後も使わない可能性が高い 」と回答し、 「 再び使うかもしれない 」 という意向のある人は 10% にとどまっています。
それでは、 「 再び使うかもしれない 」 という意向を有する 10% の人が、改めてアプリの利用を再開するのはどのような場合でしょうか。利用を再開した理由としては、 「 アプリを利用する必要性が高まった 」 、 「 興味や関心に合致するようになった 」 、 「 アプリがアップデートされて新機能が実装された 」 が TOP3 となっています。
生活者のモバイル利用において、今後もアプリは重要な位置を占めます。一度インストールしたアプリが継続的に利用されるには、アプリのどのような点について、 「 自分とは関係ない 」 、 「 役に立たない 」 、 「 うっとうしい 」 と感じる傾向があるのか利用実態を通じて把握し、ユーザーにとって快適かつ最適な利用環境を提供するという対策が重要になります。
次回は、好まれるアプリの条件について詳しく見ていきます。