2016 年には日本国内のスマートフォンの普及は 6 割に届くまでになりました。それまでブラウザ上の利用が中心だった人々のモバイル利用も、スマートフォンアプリがメインになってきました。シリーズ第 1 回目となる今回は、日本における特徴的なアプリ利用の実情について、他のアジアの国々と比較しながら見ていきます。
最初に、アプリの利用概況です。2016 年の調査では、日本国内のスマートフォンユーザーがインストールする平均アプリ数は 36 個でした。この数字は、2015 年の 32 個から順調に伸びています。しかし、毎日利用する平均アプリ数は 6 個。これは、今回調査したアジア 10 ヶ国の中ではもっとも少なく、一番多い韓国 ( 11 個 ) の約半分です。積極的にアプリを活用するアジア諸国と比較すると、日々のアプリ利用頻度と多様性という点において、日本にはまだ伸びる余地があると考えられます。
アジア諸国の平均アプリインストール数と平均アプリ利用数 ( 1日 )
次に、日本のアプリカテゴリー別の利用頻度を比べてみます。毎日利用するアプリカテゴリーのトップ 3 を比較すると、日本と韓国では 「 検索 」 と 「 ニュース ・ 天気 」 が共通でトップ 2 であるのに対し、他の中国 ・ インド ・ 東南アジア諸国では 「 ソーシャルネットワーク 」 と 「 メッセージング / コミュニケーション 」がトップ 2 を占めています。これは、日本と韓国のモバイル環境が整備されており多種多様な情報に簡単にアクセスできること、また、他の国では、家族 ・ 友人などと繋がるための手段としてアプリを利用する傾向があるという差異によるものかと考えられます。
毎日利用するアプリカテゴリーのトップ 3 (% :1日の平均利用率)
カテゴリー別にアプリの利用時間を見てみると、日本のユニークなアプリ利用実態が見えてきます。日本以外では、「 ソーシャルネットワーク 」 と 「 メッセージング / コミュニケーション 」 がトップであるのに対し、日本だけ 「 ゲーム 」 が突出していることがわかりました。これは、フィーチャーフォン ( 通称ガラケー ) の時代から、ケータイでゲームをすることが広く普及していた日本独特の背景を反映していると考えられます。デバイスがスマホに移行した現在でも、ユーザーは依然としてゲームアプリにもっとも長い時間を費やしているという事実は、日本のモバイル利用を象徴する現象であると考えます。
アプリカテゴリーの利用時間トップ 3 (1日あたり)
アジア諸国のユーザーと比べて見えてきた日本のユーザーの特徴
- アプリの平均インストール数は変わらないものの、日々のアプリ利用の頻度が低く利用するアプリの多様性が少ない
- 「 検索 / ニュース 」 「 天気 」 のカテゴリーが 「 コミュニケーション 」 を抜きトップ 2 を占めており、情報収集に積極的である
- アジアの中で唯一、他のアプリより「ゲーム」が占める時間が長い
第 1 回の結果からは、アジアの他の国々と比べ「ゲーム好き」かつ「情報収集に熱心」な日本のユーザー キャラクター像が浮かび上がってきました。第 2 回以降では、日本国内の状況に焦点を当ててユーザーの動向をさらに深く分析していきます。