マイクロモーメントを「見極め」たら、次に生活者が求めている情報を「届ける」必要があります。何かについて「したい」「知りたい」「手に入れたい」といった「マイクロモーメント」が発生する動機を 5つのカテゴリーに分け、生活者が探している答えに最も近い情報・インスピレーションを届ける方法を探っていきます。
マイクロモーメントが発生する 5 つの動機
モバイルデバイスは私たちの毎日の生活に溶け込んでいます。何かについて「したい」「知りたい」「手に入れたい」といった「マイクロモーメント」が発生するたびに、生活者はモバイルを手に取り、必要な情報を検索しています。マイクロモーメントが発生する動機は 5 つのカテゴリーに分けることができます。今回は、生活者が求めているものをタイミングをよく見極め、適切なメッセージや情報を「届ける」にはどうすればよいのか、詳しく見ていきます。
■ その 1 何かを「知りたい」瞬間
家族や友人と話をしていたり、テレビを見ていて、何かを知りたいと思った瞬間、最初に手にするのがモバイルデバイスです。あるテーマについて幅広く知るためにインターネットで検索する人のうち 7 割が、モバイルを利用しています1。
■ その 2 不満や問題を「解決したい」瞬間
困っていることや不満、課題を解決したいと思った時に、80% の人がモバイル検索を通じて解決策を探しています。そのうち 8 割が、調べる最初のきっかけもモバイルから始めています1。
■ その 3 どこかに「行きたい」瞬間
「ある場所に興味がある、行きたい」と思った人のうち 60% がモバイルで検索しています1。お店の位置情報だけでなく、イベントに行くためにチケット販売情報を調べる、テーマパークの混雑状況を調べる、といった「行きたい」という思いにまつわる様々な情報をモバイルで調べています。
■ その 4 何かを「買いたい」瞬間
84% のオンラインユーザーは、モバイルを起点としたショッピングの経験があります3。また、ある商品やサービスについて「買いたい」と思った時、 72% がモバイルで検索していますが、そのうちの 75% がスマートフォン利用者です1。
■ その 5 アイデアやインスピレーションを「得たい」瞬間
今していること、そしてこれからしたいと思っていることについてアイデアを求めている時、 76% の人がモバイルで検索したことがあると答えています1。また 6 割の人が、何らかの作業をしている最中、その作業に関連するアイデアを得る目的で、ほぼ毎日モバイルを手にしています2。
サイトやアプリを最適化して、情報へのアクセスをスピーディーに
■よりスピーディーに
現代のオンラインユーザーは、思い立ったその場でニーズを満たしたいと考え、速いスピードで決断を下します。67% のユーザーが、オンラインで情報を収集できるようになったおかげで、数年前に比べ「より速く」購入の意思決定ができるようになったと回答し、 59% のユーザーがモバイルサイトが速く使いやすい企業から製品・サービスを購入する可能性が高いと答えています2。
■より使いやすく
モバイルサイトやアプリの情報が有益で使いやすければ購入意向を高めることができます。反面、サイトが使いにくいと途中で離脱する人が多いだけでなく、ブランドへの好感度も低下します。
・モバイルサイトやアプリを通じて、関連性の高い情報やメッセージが見つけられる企業やブランドの製品・サービスは、そうでない企業に比べて購入意向が高まると感じた人は 59% でした3。
・モバイルサイトやアプリからの購入プロセスが分かりやすい (購入までの手順が少ない・入力しやすい・手順がわかりやすいなど) 企業は、そうでない企業に比べて 58% の人が購入意向が高まると答えています3。
実際に、企業がどのようにマイクロモーメントを捉えるモバイル戦略を実施しているのか、資生堂、 Adventure 、 DODA のケーススタディーから見ていきたいと思います。
■ 資生堂
時間帯により異なるニーズに応えたクリエイティブ
資生堂では「髪をケアする方法を知りたい」というマイクロモーメントを活用する施策を実施。朝・昼・夜にそれぞれ異なるクリエイティブを YouTube モバイルマストヘッド広告に配信し、同じ「髪をケアする方法が知りたい」というマイクロモーメントでも、朝には寝癖を直すための How-to 、昼には紫外線から保護するための How-to 、夜には次の日に備えるための How-to を配信しました。いずれも同一の意図を持つマイクロモーメントですが、時間帯ごとに異なった情報を届けることで、ユーザーのニーズによりきめ細かく応えることに成功したのです。
■ Adventure
サイト最適化によりダウンロード時間を短縮
Adventure の格安航空券予約サイト「skyticket」では、「航空券を低価格で購入したい」というマイクロモーメントを活かすために、モバイルサイトのユーザーエクスペリエンスを大幅に改善。従来サイトは、 Google が提唱する「モバイルサイトデザインに関する 25 の原則」における評価では半分しか条件を満たしていませんでしたが、 1 年かけて設計の要件を見直しました。サイトを最適化した結果、ロード時間が 22% 短縮、離脱率はなんと 39% 減少し、CVR (コンバージョン率) も 18% 上がったのです。この施策により、今まで逃していたマイクロモーメントを確実に捉えることができるようになりました。
■ DODA
生活者の行動を予測した全体の最適化
DODA では「いい転職先を見つけたい」というマイクロモーメントをプランニングの根幹においた、モバイルサイトとアプリの新規設計を実施しました。例えば「電車の中吊り広告で見つけた転職イベントに参加している企業を確認したい」「新しい求人があるか再確認したい」など、転職を考える生活者すべてのマイクロモーメントをゼロから洗い出し、ユーザーが起こす行動をシミュレーション。その際、 DODA がユーザーの目的を果たせているか、そしてどの程度満足しているかという観点から、もう一度システム全体を見直しました。それをもとに、モバイルサイトとアプリの設計方針を定義し、KPI (重要業績評価指標) を設定。マイクロモーメントを捉えるためのモバイル戦略を突き進めています。
まとめ マイクロモーメントを捉えて、ユーザーのニーズを満たすために
1、 生活者が探している情報や、求めているひらめきを届けていますか?
- 興味や関心を深掘りさせるようなメッセージ・情報を届けていますか?
- 生活者の問題を解決する商品やサービスをお知らせしていますか?
- 購入を検討するための情報にすぐアクセスできるようになっていますか?
- アイデアが膨らむような動画・イメージ・ストーリーを届けていますか?
2、 サイトへのアクセスやアプリの起動は短時間で行えますか?
3、 モバイルサイトやアプリにおいてユーザーに期待する行動を把握し、その行動を達成するためのステップを最短化できていますか?
4 モバイルサイトやアプリにおいてユーザーに必須の機能を理解し、過去の行動からニーズを予測することで、ユーザーをスムーズに誘導できていますか?