生活者の検索動向から、季節の変化にたいする生活者の関心がみえてきます。今回は、春を代表する「 桜 」「 花見 」の 2 つのキーワードの検索傾向を分析しながら、生活者の気持ちや行動の変化を探っていきます。
いよいよ桜の開花シーズンがやってきました。桜の開花情報は、初めてアブラゼミの鳴き声を耳にした日や、いちょうが紅葉しはじめた日などとともに、季節や気候の移り変わりを象徴する風景のひとつですが、新聞やテレビなどでは春の生活情報としておなじみです 1。それでは、生活者の検索データを通してみると、日本人の桜や花見への関心はどのように浮かび上がってくるのでしょう ? 昨年の桜の開花実績から、「 桜 」や「 花見 」の検索ボリュームの推移を見てみました。
下記のチャートを見てみると、関東から西では、開花日と満開日の中間である 4 月 1 日に検索のピークを迎えますが、関東から東では開花日の手前がピークとなり、そのタイミングにはズレがあります。桜が西から開花していくため、関東より西ではメディアで開花情報に触れたり、実際に目にしたりする機会が増え、徐々に関心が高まっていったためでしょう。 実は昨年の 4 月 1 日 はちょうど金曜日にあたったため、週末に桜を楽しみたいという意図が検索行動にも表れていたのかもしれせん。また宮城や青森など関東より東の地域では、それより西の地域の開花ニュースはそれほど関心の高くないトピックなのかもしれません。とはいえ、日本の人にとって桜は春の訪れの象徴です。長い冬がようやく終わり、まもなくやってくる桜の訪れを待ちわびて、開花前に検索ボリュームがピークを迎えたと考えられます。( 下図参照 )。
図:2016年 各地域の桜の開花、満開と検索ピークの比較
左図 : 気象庁 桜 開花日・満開日、右図 : Google データ
さらに都道府県別に、「 桜 」の検索ボリュームについて、 2016 年 2 月 21 日 を 100 とした場合の、ピーク時との差分を確認してみました。上図で取り上げた 9 都市の中で、とくに変化が目立った上位 4 つの都道府県の推移を見てみると、日本の代表的な大都市を抱える都道府県である東京、愛知、福岡と比べて、石川において顕著に桜への関心が強いことがわかります。日本海に面した厳しい冬だからこそ、雪解けを待ちわび、花開く桜を眺めて春を楽しもうという気持ちが高まるのでしょうか。なお、このトレンドは 2015 年にも同じ傾向が見られました。
図:2016 年都道府県別「 桜 」の検索ボリューム指標
次に、人気の桜の名所を見てみましょう。「 桜 」、「 花見 」というキーワードとともに検索されている上位 15 の地名を 2015 年と 2016 年とで比較してみました。2016 年では目黒川や新宿御苑の人気が 上昇したり、造幣局や六義園がランク外になったりという細かな変化こそあるものの、桜の名所として知られる地名が並んでいる点はいずれも同様です。日本三大桜2では、とくに福島県三春滝桜の人気が目立ちます。
また「 花見 」と一緒に検索されているキーワードに絞り、地名およびその他のキーワードを確認したところ、ユーザーは花見に適した場所の検索に加え、「 弁当 」、「 コーディネート 」、「 デート 」といった、花見というイベントを楽しむためのさまざまなテーマと組み合わせたアイディアを求めて検索していることも見えてきます。
図:「 桜 」と「 花見 」、「 花見 」と一緒に検索されているキーワード上位 15 個
このように、桜の満開に向け、人々の外出意欲と気持ちが高揚している事実が検索データを通してもよくわかります。いよいよ今年も桜の開花を迎えますが、穏やかなお花見日和に恵まれることを願います。