ハイパー カジュアル ゲーム「Snowball.io」で 2018 年 12 月に米国 App Store の無料総合カテゴリで 1 位を獲得した芸者東京株式会社。その開発からプロモーション、そして今後の目標について 芸者東京 CEO 田中 泰生様にお話を伺いました。
最初から「世界が舞台」と決めて始めたゲームアプリ開発とプロモーション
2006 年に創業した芸者東京は、ソーシャル ゲームをリリースし、大ヒットを収めました。しかしその後は新たなヒット作が出ず、会社の存続に黄色信号が点り始めていました。そこで開発するゲームのカテゴリを、世界を市場とするハイパー カジュアル ゲーム に絞り、早いサイクルで開発とテストを繰り返していきました。
そもそも田中様がハイパー カジュアル ゲームに焦点をあてたのには理由がありました。「芸者東京のビジョンは、私たちの創る遊びにより、地球上の全ての人に『面白い!』という感情を抱いてもらうことです。そのためにはノンバーバルで瞬間的におもしろさが伝わるハイパー カジュアル ゲームは最強の手段だと思いました。そして、ゲームというエンターテイメントの分野で、世界に影響を与えるために目指すべきはアメリカと考えていました」
世界を市場とするにあたって、国内ではなく海外でのプロモーションをメインにしたと田中様は話します。「日本でプロモーションを主軸にしたら、手元のスマホでついランキングを見たり、評価を確認してしまいます。市場を世界と決めて海外に向かったのに、里心がついてしまうとでもいうのでしょうか。そういう状況にはしたくないと考えていました」
アプリ キャンペーン導入時のサポートが成功のカギに
芸者東京がゲームをリリースして本格的にプロモーションを実施するまでには、途中 2 段階のテストプロモーションが設定されています。「ハイパー カジュアル の分野はプロモーションが必須です。アプリの評価はテストプロモーションを実施する中で、徹底してデータドリブンに行ってきました。まず最初に 小規模なテストプロモーションを実施します。この時点ではインストール単価(CPI )の目標を設定し、テストプロモーションでの CPI がそれ以下に抑えられるかどうかを成否の基準としています。ここをクリアしたら2段階目のテストプロモーションとして、1 日 1,000 ドル くらいの規模に拡大します。その間、開発サイドでの改善も同時に行い、『これで行ける!』となったゲームが本番プロモーションのステップに進みます」
本番プロモーションでは Google 広告のアプリ キャンペーンも活用し、広くユーザーを獲得していきます。「実はアプリ キャンペーンを実施する前に Google に問い合わせをしました。もし何か広告運用の Tips だけでも得られれば、というつもりだったのですが、導入前にマーケティング戦略から実際の運用までサポートを得ることができました。まずどの国からプロモーションを開始したらいいか、国ごとのキャンペーン設定のポイントや成果の基準、効果が上がる設定方法など、アプリ キャンペーンの導入前にアドバイスをもらえたことはとても大きかったと思っています。もしそれがない状態で、自分たちの想定だけをもとに設定していたら、成果を出せないままだったかもしれません」
「Snowball.io」が米国 App Store ランキング 1位に。芸者東京に起こった変化とは
いよいよ年内にゲームをヒットさせないと会社の存続が危ない…といったタイミングで、この 2 段階のテスト プロモーションをクリアしたのが「Sling and Jump」と「Snowball.io」でした。「当初は『Sling and Jump』の方がうまくいくのではないかと思っていましたが、本番プロモーションで思ったほどブレイクせず、もうこれがぎりぎり最後とプロモーションをかけた『Snowball.io』が予想以上の成果を上げました」
シンプルで幅広いユーザーが楽しめるゲームアプリ「Snowball.io」
そして、「Snowball.io」が 2018 年 12 月に米国の App Store 無料総合ランキングで 1 位を獲得しました。「まさか 1 位が取れるとは思っていませんでしたが、『ここが始まりだ』と感じましたね。開発スタッフのみんなも手放しで喜ぶというより、もっと頑張らなくちゃとより気合が入った様子でした」
実際に米国でランキング 1 位を獲得したことでユーザー同士での口コミ効果が上がったり、オーガニックによるインストールが増加するなどの成果がありました。「それだけではなく、アプリで世界を目指す優秀な人材が芸者東京に集まり始めたことも、1 位獲得大きな影響だと思っています」
Google に乗って目指す「常時 3 つ以上のゲームがランクイン」の環境
広告収入で成立しているハイパー カジュアル ゲームの場合、ユーザー当たりの広告インプレッションがアプリの成功を左右します。そのため、芸者東京では継続率の高さや 1 日あたりのプレイ時間などを改善すべき指標としています。「最適な広告表示の間隔など、見るべき指標は増えています。さまざまなデータが集まって、見えるものがどんどん増えてきました。解像度がどんどん高くなってきたような感覚です」
「Google から、LTV の高いユーザーを獲得することの重要性と、そのインサイトや方法についてアドバイスをもらいました。アドバイスを受けて、アプリキャンペーンでより LTV の高いユーザーを効率的に獲得するための設定と運用をし始めたところです」
また、芸者東京ではアプリ開発や効率的な収益化など、プロモーション以外でも Google のサービスやソリューションを活用していくと田中様は話します。「今後は、世界のランキングで常に芸者東京のゲームが 3 つはランクインしている状態にするのが目標です。Google は、いいゲームを作って世界に効率的に届けるための高速道路のようなものだと思っていますし、うまく乗りこなしていきたいです。今後も Google と一緒に走り続けたいですね」
(写真左から)芸者東京(株)Engineer/Marketer 田口 聖久氏、同 CEO 田中 泰生氏、同 Lead Engineer 竹下 義晃氏