ヘルスケア/フィットネス アプリ「FiNC」は、「カラダのすべてを、ひとつのアプリで。」を掲げ、食事、睡眠、歩数などのライフログデータを基に、管理栄養士など専門家からのアドバイス、パーソナルジムでのトレーニングといった、利用者それぞれに合った美容、健康に関する提案を行うアプリです。この領域で、ダウンロード数国内 No.1* を誇っています。運営するのは、スタートアップ企業の FiNC Technologies です。同社は、参考にできるアプリマーケティングの前例がない中、Google 広告のアプリキャンペーンを活用してユーザー獲得に成功しています。
アプリを継続利用してくれるユーザー獲得に向け、マーケティング戦略を策定
「当社は、まず体の変化に敏感になる 30 歳前後をコアユーザーに設定。サービスを評価して、長く健康管理に役立ててくれるユーザーを増やすことを重要視しています」( FiNC 藤原氏)
しかし、プロモーションには課題もありました。同社のようにアプリと実生活の両面からトータルにヘルスケアをサポートするサービスは例がなく、参考にできる成功事例がありません。そのため、プロモーションを検討し始める早い段階から、KPI 設定などのマーケティング戦略を検討。Google のアプリキャンペーンを活用し、継続的にアプリを利用してくれる、アプリと親和性の高いユーザーの獲得を目指しました。
アプリキャンペーンとは、アプリのインストールや有料ユーザーを増やすためのキャンペーンを簡単に展開できる機械学習エンジンを活用したツールです。数行の広告文と入札単価などを設定するだけで、Google 検索、Google Play、YouTube、Google ディスプレイネットワークなどを通じてターゲットユーザーにリーチできるよう、キャンペーンを自動的に最適化できる仕組みです。
行動分析とクリエイティブ最適化で効果を最大化 登録会員数を倍増させた動画広告も
アプリキャンペーンを活用することによって、これまで気付くことが難しかった、プロモーションの“勝ちパターン”を発掘することができます。「FiNC には多様なコンテンツがありますから、動画広告では、健康情報、フィットネス、ヨガ、マッサージなど、さまざまなクリエイティブを作成して、結果を見ながら改善を繰り返しました。結果、ヨガ動画を見た人との親和性が高いことなど、さまざまな傾向が分かり、効果的なプロモーションへと発展させることができました」と同社の中村 和弥氏は話します。
ただし、アプリキャンペーンの機械学習の力を引き出すにはノウハウがあります。例えば、アプリ内行動の分析データをアプリキャンペーンと連動させることで、アプリを継続的に活用してくれるアクティブなユーザーを効率的に獲得するなどの最適化も取り組みました。
「アプリキャンペーンの効果的な運用方法についても、早い段階から Google の担当者にアドバイスをもらい、アプリと親和性の高いユーザーを効率的に獲得することができました」と、藤原氏は説明します。
「Google の担当者から短い動画のクリエイティブに関するアドバイスももらいました。動画の冒頭、中盤、後半をそれぞれ、引きつける、サービスの特徴を伝える、クリックを促すという役割に分け、それぞれを 2 秒ずつに区切った構成にするのです。この構成を基にいろんなパターンの動画を制作して成果を見ながらブラッシュアップしていきました」と中村氏。この動画広告の成果は目覚ましく、開始してすぐに登録会員数が 2 倍に急増しました。
アプリキャンペーンで獲得したユーザーの継続率、アプリ公開当初の 2.3 倍に
同社はアプリキャンペーンを継続利用しており、アプリキャンペーン経由で入会するユーザーは全体の約 20% を占めました **。また、アプリキャンペーンを通じて獲得したユーザーの継続利用率は、アプリリリース当初の 228% に向上しています。
さらに同社は、アプリキャンペーンで得たユーザー行動シグナルを、広告配信だけでなくサービス改修のヒントとしても活用しています。
「スタートアップが戦略的に広いユーザーへのリーチを狙っていく場合、アプリキャンペーンは極めて有効な選択肢になると思います。また、Google のサービスは、将来のグローバル化にも役立つと考えています」と中村氏。
今後の展開として、FiNC とのより高度な連携にも期待を寄せます。「FiNC も AI(人工知能)を使っていますから、双方の AI を連動させれば、互いの分析結果を共有して、ユーザーに提案を行うような新しいサービスを実現できるのではと考えています」(藤原氏)。
Contributor
秋葉 巌
モバイル ソリューション スペシャリスト
畑 嘉一
モバイルアプリ アカウント マネージャー