盛り上がる日本のモバイルアプリ市場
2017 年の日本人生活者のアプリダウンロード数は、2015 年に比べて 60% 増加しました。1 人の生活者が毎月新しいアプリを 2 本以上ダウンロードしたことになります。それに伴い、日本のアプリ消費支出は 130 億ドルを突破し、こちらも 2015 年度に比べ 60% 増加しています。(*1)
生活者のモバイルへの接触時間が増える中、一度ダウンロードすれば Web よりも表示速度が速いアプリは、その使い勝手のよさから便利な存在になりつつあります。
Googleで行った調査でも、モバイルアプリを使う理由として、支払いなどの利便性や、何かについて深く調べたいときに便利という答える生活者が多いことが目立ちました。(*2)
アプリはインストールされることが重要だが、
現在では手間をかけなくても機械学習がインストール数を最大化してくれる
一方、モバイル Webと比較した場合、アプリはダウンロードしてもらうということのハードルが高いため、ダウンロード数(=ユーザー数)を増やすことが重要になります。
近年の技術の発展に伴い、アプリ プロモーションの作業の大半は、機械学習によって自動化されました。たとえばオンライン プロモーションでは、タイミング、対象とする生活者像、メッセージ選定が重要な要素ですが、現在では、人力では把握できない大量のデータを、機械学習が個々人の生活者ごとに最適化してダウンロード数を伸ばしてくれます(ユニバーサル アプリ キャンペーン)。あるデータでは、人力によるプロモーションより、こうした機械学習を活用したプロモーションのほうが 140% もダウンロード数伸ばすことができたという結果があります。
機械学習は、アプリ プロモーションにおいても、マーケティング担当者の作業工数を削減しつつ、成果を出すために役立つのです。
機械学習が普及するアプリ プロモーションで、
マーケティング担当者が注力すべき業務とは?
このように状況が変化する中、マーケティング担当者はどのような業務に注力すべきなのでしょう。Google は、効果的なクリエイティブ(=アプリの場合、インストールにつながるクリエイティブ)制作に工数を割くべきだと考えます。
では効果的な広告クリエイティブとはどのようなものなのでしょう? Google の専門チームによる分析によって判明した法則をご紹介します。
今回の分析では、まず YouTube 動画広告の制作経験があるクリエイターや社内の専門チームと議論しながら、モバイル アプリ プロモーションに向けた動画広告クリエイティブの構成要素を 120 項目に分解しました(下図参照)。その後、ユニバーサル アプリ キャンペーン内の動画広告を対象に、各構成要素が含まれているかどうか確認し、さらにアプリ インストール率に寄与している要素について重回帰分析を行うことで、要素ごとの統計的有意差を検証しました。
図: クリエイティブの構成要素の例
上の図で示したように、アプリインストール広告においてインストール率に寄与する要素は多様です。しかし、そこから得られた洞察を簡潔にまとめると、効果を発揮するのは「直接的でわかりやすい訴求」と「自分ごと化」であると集約されます。以下で、それぞれについて分析します。
「直接的でわかりやすい訴求」
アプリの内容を数秒から数十秒のクリエイティブのなかで理解してもらい、インストールという行動に踏み込んでもらうためには、婉曲的な表現ではなく、差別化ポイントを明確に伝えることが重要です。たとえば世界感がウリのゲームであれば、その世界観をしっかりと伝えること、もし特定の性能に特徴があるのであれば、その性能を明確に提示するのが効果的です。例えば、マジカントのゲームアプリ「Fill」の動画クリエイティブでは、一筆書きパズルの「シンプルな操作性」という差別化ポイントを全面に押し出した動画となっています。ゲーム性をいかにユーザーに理解してもらうかということを重要視し、プレイ内容を全面を押し出した内容です。
訴求方法についても、検索を促すという間接的なものより、直接インストールを訴求するほうがいいでしょう。よくあるのが検索窓を終了画面に表示する間接的な訴求ですが、よりインストールにつながるのは、「今すぐインストール」といった文言による直接的な訴求方法です。
ゲーム以外のアプリの場合には、そのサービス自体に新規性が高いため、アプリであることが認知されていないケースも珍しくありません。そのため、アプリストアのロゴやアプリの画面を表示することで、「アプリ」だと明確に伝えることも重要です。たとえば FiNC の動画では、「毎日 5 分ダイエット!人工知能があなたにあったメニューを厳選」というフレーズでダイエットのためのアプリであることとアプリのウリである人工知能によるアドバイスを明確に伝えています。また、実際のアプリ画面とストアロゴ、さらにはインストール訴求メッセージを通じて、「アプリ」であることが直感的に伝わる動画となっています。
FiNC では、2018 年 7 月時点でユニバーサル アプリ キャンペーンがアプリユーザー総獲得数の20% を占める主要媒体になりました。また、今回のクリエイティブを配信したキャンペーンにおいては、獲得単価は全体平均より 11% も良い結果になっています。
「自分ごと化」
ユーザーにアプリのインストールという行動を促すには、アプリの利用を「自分ごと化」してもらうことが重要です。そのためには、キャラクターやターゲットのペルソナを登場させることが役立ちます。ゲームアプリの場合には、実際にゲームをプレイしている画面を映し出すゲーム実況のフォーマットを用いて、ユーザーにゲームを疑似体験してもらうのもいいでしょう。たとえば、面白法人カヤックの動画(株式会社カヤック ぼくらの甲子園!ポケット ガラポン編)では、ターゲット年代のキャストが実際のアプリをプレイしているフォーマットにより、ゲームの体験を身近なものとしてユーザーに伝えています。
生活者のモバイルシフトが進む現状において、今後もアプリでのビジネスは拡大していくでしょう。本記事を効果的なアプリの広告クリエイティブの制作に役立てていただき、アプリを通じてより貴社のアプリビジネスの拡大に役立てていただければ幸いです。