「へー」「ふむふむ」「そんな感じか」「うしし」「なるほどね」「はいはい」「やっぱりか」「ですよね」──。
情報探索をかき立てる 8 つの動機
前回紹介した、人々の情報探索をかき立てる 8 つのモチベーションは、大きく 2 種類に分類できます。「気晴らしさせて」「学ばせて」「みんなの教えて」「ニンマリさせて」の 4 つは、人々が選択肢を探ろうとしているモード。「納得させて」「解決させて」「心づもりさせて」「答え合わせさせて」の 4 つは、選択肢を固めようとしているモードと言えます。
情報探索をかき立てる 8 つの動機
「さぐる」検索と「かためる」検索から成る構造
その上で普通に考えると、この 2 つの関係は、まず選択肢を「さぐった」上で「かためる」のだろうと考えがちですが、実際にはそうではないこともわかってきました。
たとえば、選択肢をかためてきているのに、なぜかまた新たな選択肢を広げようとする。あるいは、気晴らしに検索しているのに、そこで見知った商品を突然ためらいもなく買ってしまうなど、例をあげると枚挙にいとまがありません。
これを図示すると、次のようになります。
左と右にサーキットが広がっている様子がまるで「蝶(バタフライ)」のようなので、私たちはこういった情報探索行動の構造を「バタフライ・サーキット」と名付けました。
検索遍歴から見えるバタフライ・サーキット
たとえば、前回紹介したハワイに新婚旅行をした人の個票をバタフライ・サーキットのフレームに取り込むと、ギリシャやバリ島に関する検索は「気晴らしさせて」や「学ばせて」が、割合として多かったことがわかります。
それがハワイになると、徐々に「解決させて」や「答え合わせさせて」などが出てきているようです。ただしその間にも、「気晴らしさせて」や「学ばせて」、さらには「みんなの教えて」などがコンスタントに出ていることがわかります。
その後、予約以降の情報探索は「解決させて」が目立つようになり、さらに旅行中の「日傘」検索以降、次のバタフライ・サーキットが起こっています。
このような分析をカテゴリーごとに行い、さらにそこでの発見が汎用的かを裏づけるための定量調査も行いました。それらの結果から、バタフライ・サーキットの分析を進め、今どの程度の人が、ここまで説明した情報探索行動をとっているかを明らかにしました。
バタフライ・サーキットと旧来型の情報探索行動
調査対象は各カテゴリーおおよそ、700人から900人ずつです。この結果をカテゴリーごとに分類したところ、それぞれ、概ね70−80%の割合でバタフライサーキットの結果としてその商材が購入されていると判断できる結果となりました。
一方でほとんどバタフライサーキットを起こしていない人たちがいる。ということもわかってきました。なお、この「バタフライサーキットを起こさない人たち」は、情報探索の目的が「知らないことを知る」というところにほぼ限定されます。比較的高齢層に多く見られ、利用する端末もPCが優位になっている人たちであることが分析の結果わかっています。そして、ここで 1 つ強調しておきたいのは、この人たちは決して情報弱者ではないということ。次回では、バタフライ・サーキットに関する定量調査の結果と特徴、さらには今回調査対象としたカテゴリーごとの違いについて説明します。