すぐれたマーケティングとは、ただ効率を追求するだけではなく、人々の心に触れて記憶に残り、おのずと関心を引き寄せるものです。もちろん、その実現は容易ではありません。Google の社内キャンペーンにおいて、推測による不確実性を排除することに成果を出した方法を、Google の広告マーケティング ディレクター Matt Lawson がご紹介します。
「データの重要性は誰もが認識しています。しかし、そのデータをどう活用し、どこから手をつければいいかわかっている人はおりません」
「タテ割りの組織では、なかなかデータが有意義に活用できないのです」
マーケターによるこのような意見を、イベントやクライアントとのミーティングだけでなく、私自身の仕事の場においても何度も耳にしました。「ビッグデータ革命」がマーケティングを一変させたということは知っていても、それを上手に利用できていると思っている人は少ないです。
ユーザーへアプローチする手法として、つい最近までは「注目を集める広告キャンペーン」、「考え込まれたメディアプラン」の 2 大要素が重要視されていました。これらはそれぞれ別個に立案されており、相互に連携しあうことはほとんどありませんでした。
しかし、このやり方はもはや効果を失いつつあります。
なぜなら、熱心なブランドマーケターは「データ」を活用し始めたからです。「データ」によって、キャンペーンはこれまでになく関連性が高く影響力のあるものになります。
ブランド マーケティングの新たな革命
目指すユーザーに最適なタイミングでリーチするには、「データ」と「プログラマティック」が極めて重要だという認識はすでに広く浸透しています。それに加えて、メディアバイイングの手法にもデータを活用すれば、ブランド マーケティング戦略にさらなる効果を見込むことができます。
データは、単なる 1 と 0 の羅列に見えますが、実際には驚くべき意味を秘めています。 デジタルとメディア双方のチームが企画立案の初期から連携しあうことで、 データを使って最適かつ独創的な広告クリエイティブを提案することができ、また的確にキャンペーンを運用できるという認識が広まりつつあります。この目新しい手法により、インサイトを促す新たな機会も同時に生み出され、マーケティングの効果を継続的に高めることができるのです。
データを「クリック」につなげる
データの活用により、多くのブランドがユーザーに強い印象を植え付けるキャンペーンを設計、運用、測定できるようになりました。
Google のマーケティング チームでも、この「データ + 広告 + メディア」という組み合わせを使ってこれまでのキャンペーン戦略を再考した結果、以下のような結果を出すことができました。
スマートフォンで Android Wear を疑似体験
ある Android Wear キャンペーンでは、顧客がスマートウォッチの機能を試すことができるように、広告ユニット上にスマートウォッチのインターフェースを再現しました。ロケーションや時間等のリアルタイム データを組み込んだ動的広告を表示することで、実際に店舗まで足を運ばなくても、スマートフォンの画面上で Android Wear の機能を疑似体験できるようにしたのです。
Google アプリの利便性を訴求
Google アプリをもっと使ってもらおうと、外出中のユーザーに対してその便利さを訴求することにしました。そこで、検索データに基づいて主要都市の主なランドマークを特定し、さらにそれぞれのランドマークでよく検索されているワードも割り出しました。そして、それらの場所の最新の天気情報、近くのレストラン、口コミといったリアルタイム データを表示する動的モバイル広告テンプレートを作成し、どこにいても、このアプリによりユーザー エクスペリエンスが非常に高まるということを伝えたのです。
データをブランドマーケティングに機能させるには
マーケティングの現場で真にデータを有効活用したいなら、チーム間の連携を阻む組織の壁を取り払わなければなりません。
優れた企業では、マーケティング、デジタル、メディア、代理店のすべてのチームが同じオフィスで働いていて、キャンペーンの目標設定、多角的なインサイト分析、データ処理、そしてブランドのゴールを達成するための最適な戦略構築に対して、力を合わせて取り組んでいます。
マーケティング担当者は、このチーム全体をまとめ上げる重要な役割を担っています。ブランドの強み、ターゲット ユーザー像、そして広告クリエイティブが目指すビジョンを知り抜いているのはマーケターだからです。データを活用して、記憶にいつまでも残る、抗いがたい魅力に溢れたブランドをつくり上げてください。