近年、デジタル広告に対する人々のプライバシー意識は、世界中で高まっており、企業側も人々のそうした変化に対応しています。
Google はすでに、Chrome ブラウザにおいて、利用者をウェブ横断的に追跡するサードパーティ Cookie の段階的な廃止と、代替識別子を作らないことを発表しました。
プライバシーに配慮したデジタルマーケティング活動のために、企業は今何を準備すべきでしょうか。今回は US 版 Think with Google が公開した記事を基に、日本の読者向けに再編集しました。
サードパーティ Cookie に代わる仕組み
サードパーティ Cookie に頼らずにデジタル広告エコシステムが機能する状況は、想像しづらいかもしれません。企業はサードパーティ Cookie を利用することなく、ウェブ利用者の興味に沿った関連性の高い広告をどうすれば届けることができるのでしょうか。その広告に接触した利用者が、結果どんなアクションを起こしたかを、どのように把握すればよいのでしょうか。
その答えの 1 つが、プライバシー サンドボックスです。これは、サードパーティ Cookie に代わるプライバシーを重視した仕組みを構築しようとする試みで、Google は、デジタル広告エコシステムに携わるコミュニティの皆さまにも協力を呼びかけています。広告主の皆さまは、サードパーティ Cookie によって個々の利用者を追跡することなく、関連性の高い広告を届けたり、広告効果を測定したりすることができ、従来通り、広告を事業の成長につなげることができます。
プライバシー サンドボックスでは、利用者のプライバシーを守るための方法として、次のようなアプローチをしています。
- 利用者を、個人を特定しない形で、共通の関心対象を持つ大きなグループに分類します。サードパーティ Cookie のように、広告主が個々の行動や関心対象を把握することはありません
- 広告主に共有する情報は利用者自身が管理できます。これにより広告主は、個人を特定せず、匿名性を保った状態で、広告効果を測定できます
- 個人の情報は、利用者自身のデバイス内に保存され、公開されません。広告主が個人の情報を収集することはありません
こうした大規模な変化は、複雑かつ高度な技術が必要に見えますが、Google や広告事業者が協働し、実現に向けて取り組んでいます。サードパーティ Cookie の廃止に伴うプライバシーを重視した代替手段への移行措置において、広告主の皆さまの作業ができるだけ発生しないよう進めています。広告主やパブリッシャーの皆さまは、利用中のプラットフォームで引き続き広告を売買できます。変わるのは、プライバシーを重視して設計された技術を通じて、広告の売買ができるようになるという点です。
次に、プライバシー サンドボックスで開発中の技術がサポートする広告のユースケースを 3 つ紹介します。
メニューボタンからそれぞれの詳細を確認できます。
これらのユースケースに加えて、プライバシー サンドボックスには、アドフラウド(広告の不正行為)やデバイスのフィンガープリント収集(デバイスの所有者を特定するために、デバイスに関するデータを収集する行為)を防止するための提案も含まれています。
これまでの経緯
Chrome のプライバシー サンドボックスで開発しているような、新たなオープンソースのブラウザ技術は通常、広く採用される前に段階を踏みます。一般的には、まず公開テストを行い、業界の企業各社の協議やテスト、フィードバックを得ることで信頼性を高め、有効性を実証します。
今はまだその実証の第 1 段階です。私たちの目標は、各提案を Chrome だけでなく、この新技術を採用すると決めたすべてのブラウザと協働し、広げていくことです。そうすることで、より多くの広告事業者が、自社製品で、この技術を利用できるようになります。
今、皆さまができること
人々のプライバシーに対する意識の高まりや規制の変化に合わせ、デジタル広告業界に携わる私たち全員が、サードパーティ Cookie に代わる手段を検討していく必要があります。プライバシー サンドボックスは、企業各社に必要なツールを提供しながら、人々が求めるプライバシー保護も実現でき、業界にとって長期的に最良な道であると考えています。また、サードパーティ Cookie を、プライバシーを重視した新たな技術に置き換えるという困難な作業の大半は、Google のような広告事業者が担っており、広告主やパブリッシャーの皆さまがこうした技術の置き換えをする必要はありません。
新たな技術へ置き換わるまでの間に、今からできる重要なステップを紹介します。プライバシー サンドボックスの準備が整った際、円滑に利用するためものです。
- 皆様の顧客との直接的な関係を築く機会を模索してください。そのために、自社サイトに適切なタグ付けとデータ活用への同意を得るためのインフラを備え、ウェブサイトに包括的なファーストパーティ測定ソリューションを実装する必要があります
- 自社のデータにギャップがある場合、自動化や機械学習を利用したソリューションを活用して、トレンドの特定や広告配信結果のモデリングに役立ててください
業界の皆さまと共に議論を続け、デジタルマーケティングの新たな時代に向けての準備を一緒に進められればと考えています。
なお、アジア太平洋地域(APAC)におけるプライバシーに関する動向は、こちらの動画(日本語字幕付き)も参考にしてみてください。APAC の業界リーダーへのインタビューから、プライバシーを取り巻く環境の変化と、それに対してマーケターを中心に企業が何をすべきかを紹介しています。