US 版 Think with Google が 2021 年 6 月に公開した記事を基に日本語に翻訳し、編集しました。
1 人の人が 1 年で目にする広告の数は、およそ 200 万件とも言われています。それは、広告業界全体で、人々が自分自身をポジティブに感じられる広告を 200 万通り提供できるということです。しかしこれまで、多くの広告は歴史的に疎外されたコミュニティを傷つける、またはステレオタイプな方法で描写してきたことが多かったのではないでしょうか。そもそも、疎外されたコミュニティを対象に含む広告自体も限られていました。この 1 年(元記事は 2021 年 6 月掲載)、こうした状況の改善を求める多くの声が上がりましたが、私たち広告業界に携わる人間がとってきた行動は十分ではなかったと考えています。人々が毎日目にする何十億件ものメッセージが、さまざまな文化を持つ多様なこの世界を正しく表現するように努めるのは、私たち全員の責任です。
私自身、このことを完全に理解しているとも、常に正しく実践しているとも到底言えません。それでも、Google で CMO(最高マーケティング責任者)として、この問題について自分なりの旅(ジャーニー、英語)を続けてきました。そして、多様性の中にさらに多様性が存在することを学びました。そこで、私がたどり着いた地点に他の人々が向かうのを助けるために、学んだことを共有したいと考えたのです。
私たちが学んだこと
Google では、学んだことを共有することで新たな力が生まれると常に信じてきました。Google のツールやリソースは、広告における不平等への対処も含む、大きな社会課題への取り組みに役立つと考えています。そこで、皆で変化を実現できるように、社内マーケティングツールキットの「All In(g.go/all-in)」(英語)を公開しました。この問題については、社外の人々を巻き込まなければ、改善は望めません。Google は世界中で何百もの広告会社と仕事をしていますが、マーケティングにおける多様性について学んだことをパートナーである広告会社と共有したことで、私たちにとっても、広告会社にとっても大きな変化が生まれました。
もちろん、すべての答えを持っているわけではありません。また、これらのリソースは解決策というわけではなく、前に進むための最初のステップにすぎません。あらゆる規模のチームが、このツールキットから自分たちの役に立つガイドを見つけられるはずです。その内容の一部をご紹介します。
適切なチームを編成しましょう。多様な視点からのアイデアを得られるように、少数派の才能をチームやパートナーに加えましょう。
インクルーシブでクリエイティブな選択を行いましょう。オーディエンスの定義から広告文の書き方まで、広告制作全体で固定観念を回避するのに役立つツールを見つけましょう。
互いに責任を持ちましょう。目標を設定し、進捗を見極めて、仕事が正しい方向に進んでいることを確認しましょう。
マーケティングにおける固定観念を払拭しましょう。歴史的に過小評価を受けていた少数派グループが、本当の意味でポジティブに正しく表現されるよう支援する、幅広いオーディエンスを見つけましょう。
私たちは 2017 年から、Geena Davis Institute、AdColor、GLAAD、Goodwill、Hispanic Federation、Association of National Advertisers など、専門家や業界をリードする組織と提携してこのツールキットを構築し、修正を重ね、社外の人々をこのジャーニーに招いてきました。
3 年前(2019 年)、最初の多様性監査を行い、その結果を発表しました。私たちが監査した広告クリエイティブで黒色人種またはラテン系の人々が登場していたのはわずか 10% でした。このツールキットを広く共有した結果、その数は 2021 年現在、26% にまで増加。また 2020 年の黒色人種を起用したキャンペーンのうち 72% は、音楽、スポーツ、ダンスの過剰な描写が含まれていませんでした。さらにその監査では、LGBTQ+ のストーリーや描写をもっと増やしたり、より多くの高齢者や障害者を起用する必要があることも示されました。
このツールキットは特効薬ではなく、今後も進化していくものですが、社外の人々が私たちと同じ過ちを避けるためのスタート地点になります。
マーケティングは、固定観念を強めることも破壊することもできます。私は固定観念を打破する側になりたいと思っています。私たちのこれまでの仕事の中には誇りに思えるものもありますが、これは長い旅(ジャーニー)なのです。私たちは皆、さらに学ばなければなりません。ここで紹介したことは、パズルの 1 ピースにすぎません。私たちが学んだことを皆さんと共有することで、インクルーシブな広告を作るという連帯責任を果たすよう、これからも業界に呼びかけていきます。なぜなら、変化は私たち全員が参加(all in)しなければ起こせないからです。