デジタル化によって、企業はビジネスモデルを変革し、生産性を向上できます。
こうしたデジタル化の恩恵は日本全体にも大きなインパクトをもたらし、最大限活用することで 2030 年までに日本で生まれる経済価値は年間で最大 67 兆 7,000 億円にものぼると言います(*1)。これは 2020 年における日本の GDP の 13% に相当します。
デジタルマーケティングで本質的なビジネス成長に貢献する
デジタル化を語る上でデジタルマーケティングは重要な要素の 1 つです。デジタルマーケティングというと、デジタルデバイスやプラットフォームでの広告宣伝や、自動化、効率化などを目的としたツールの活用といったイメージが先行しがちです。しかし、単なる広告効果の改善やマーケティング目標の達成だけではなく、その先のインパクト ーー 企業としての成長やあるいは担当者個人の成長にも寄与できるのです。
Google 広告のデータ分析を通じて、消費者のニーズを理解し EC サイトでの売り上げを 2 倍に
実際にデジタルマーケティングへの挑戦を通じて、そうした成長につなげた事例として、2 社を紹介します。
電子部品の専門商社である三栄電子株式会社は、これまで展示会を中心に新規顧客を開拓してきました。しかし会社の認知度が低いことや、自社製品がどの層に需要があるのかわからない、といった点が課題だったため、新たな営業機会としてデジタル広告を活用することに決めたのです。
Google 広告に取り組むことで、Web サイトへのアクセス数を前年同月比 2 倍に伸ばし、新規顧客獲得数は 10 倍になりました。これまでの営業活動だと、1日あたりの件数にも限界があり、かつそれを拡大するには新しい営業スタッフを採用するなど年間で数百万円程度のコストが必要でした。デジタル広告は予算を決めてスモールスタートできる点で始めやすかったそうで、三栄電子の担当者によると「全世界に勝手に広めてくれる営業スタッフが 1 人増えた」ような感覚だと言います。
またデジタルマーケティングの導入は、単に成果を数値で可視化できただけではありません。マーケティングの担当者が問い合わせの内容を分析することで、より有効な施策につなげることも可能になるなど、デジタルと人の力を融合できている点に手応えを感じていると言います。さらに自然とデジタルツールを導入するきっかけにもなり、今回の取り組みは「自分自身のデジタルトランスフォーメーションにもなった」(同担当者)と振り返ります。
革製品を製造販売する 1952 年創業の株式会社井野屋は、Google 広告を活用して自社ブランドの EC サイトでの売り上げを 2 倍(広告開始前後の年間比較)に伸ばしました。
レザーバッグブランド「SLOW」など、複数ブランドの生産販売を手掛け、実店舗も運営している同社では、これまで他社への卸売が売り上げの中心でした。しかし自社でもより良い商品を作りたいとの思いから、2019 年に EC サイトをリニューアルし、自社商品の販売拡大を考えていました。そんな中、新型コロナウイルスの影響もあり、EC により力を入れようと Google 広告のリスティング広告を活用。広告で本当に EC の売り上げが上がるのか、社内からは懐疑的な声もありました。実際にやってみると EC での売り上げが伸びたことはもちろん、広告を見て店舗に足を運んでくれた人もおり、成果を実感できたのです。
井野屋のマーケティング担当者は今回の取り組みを通じて、「統計が取れているので、お客さまが求めているものがわかるようになりブランドのディレクターとも対等に話せるようになった」と自身の成長についても振り返りました。キーワードの選定など、試行錯誤しながら広告を配信する中で得られたデータを分析することで、新たな商品開発への提案や、過去に廃番になった商品を再販できないかなど、相談を持ちかけられるようにもなったと言います。
ノウハウや販路拡大……中小企業のデジタル化における課題をデジタルマーケティングで解く
しかし、経験のない状態からデジタルマーケティングを始めるには、さまざまなハードルもあるでしょう。リソースやノウハウの不足から、なかなか実行までには至らなかったり、企業としてデジタルに慣れておらず、そうした施策を導入する土台がなかったりするかもしれません。
中小企業庁が 2022 年 4 月に発表した「2022年版中小企業白書・小規模企業白書概要」では、中小企業のデジタル化の取り組みを 4 段階に分けて状況をまとめています。
デジタル化の4段階は、以下の通りです。
2019 年から 2021 年にかけて段階 3 の事業者が 13.9% 増加しました。一方で、2021 年時点でも段階 1 の事業者が 8.2% 残っており、段階 4 の事業者は 10.2% にとどまっている状況です。
Google はこのような企業の課題を解決し、本質的なデジタルマーケティングを実装するためのチャレンジをサポートしています。
LINE での問い合わせ、人材育成無料サービス
たとえば Google 広告を始める際には、Google 広告コンサルタントが広告アカウントの開設を無料でサポートしています。電話やメールのほか、LINE でも問い合わせが可能です。
またデジタル広告を運用する上でノウハウがない場合には、担当する人材の確保や育成も課題の 1 つでしょう。前述の資料でも、中小企業が重視する経営資源は人材であり、従業員の仕事に対する意欲向上の観点からも、従業員の能力開発に取り組むことが重要だとしています。
従業員の育成には、社内研修の整備や外部セミナーへの参加などに向けて準備が必要ですが、 「Grow with Google」では、デジタル人材に必要なスキルトレーニングを無料で提供していますので、準備の手間やコストを軽減できます。日本ではこれまでに 750 万人が各種トレーニングを受講しており、利用者の 8 割が「自分自身(個人)やビジネスのために何か新しいスキルを学ぶことができた」と回答しています。
デジタルマーケティングの基礎や、EC ビジネスのポイントといった内容から、Google 広告の使い方や Google ビジネスプロフィールの登録方法といった具体的なツールの説明まで、多数の動画講座を用意しています。
海外展開の課題を解消する無料ツール「マーケット ファインダー」
海外展開に課題を抱えている企業もあるでしょう。中小企業庁によると、越境 EC(国内から海外に販売する EC)は増加傾向にあり、2016 年は EC を利用している中小企業の 34.1% だったのが、 2021 年には 48.2% にまで増加。一方、越境 EC を行っている企業は「販売先に関する情報不足」や「自社ブランド認知向上の難しさ」といった課題も抱えていました。
そうした課題に対して、Google では「マーケット ファインダー」という無料ツールを提供しています。越境 EC を始めるには、自社のサイトや商品が海外展開に適しているのかを調査する必要があります。こうした調査は従来、時間と費用が必要不可欠でした。マーケット ファインダーはこれらのニーズに応えるため、「自社の越境 EC の準備状況のスコア評価」と「新しい海外市場の発見」という 2 つの機能を備えています。
前者では「何カ国で事業を展開しているか」といった事業に関する質問や「Web サイトがどの言語で作成されているか」「サイト上で利用できる支払い方法」「よくある質問のページがあるか」といったサイトに関する具体的な質問に回答することで、自社の越境 EC の準備状況を把握できます。
後者は、自社の Web サイトを入力すると、ビジネスの可能性がありそうな海外の地域を「おすすめ市場」としてランキングで提案。すでに参入済みの場合は、他に広げられそうな地域を確認できます。
デジタルマーケティングの効果を最大化できる企業環境
デジタルマーケティングの効果を最大化するには、PDCA を回しながらスピーディーに施策に取り組める組織環境や、現場の知見を吸い上げて施策に反映できる体制が必要です。また、デジタルマーケティングを活用した課題解決に取り組む中で得られる恩恵は、企業だけのものではありません。社員 1 人 1 人の成長、そして企業の成長を促し、ひいては日本経済や社会全体の成長につながることでしょう。
Google はこれからも、さまざまなツールやサポートを提供することで、企業のデジタル活用を支援していきます。