アジア太平洋地域(APAC)版 Think with Google が 2023 年 4 月に公開した記事を基に日本語に翻訳し、編集しました。
APAC における旅行熱は、間違いなく盛り上がりを見せています。日本を含めた APAC 6 カ国への調査では、75% 以上の人が、近い将来に可能な限り旅行したいと強く望んでいます(*1)。以下の通り、旅行関連の検索は日本を含めた APAC 全域で増加しており(*2)、旅行の需要が高まっているのは明らかです。
- 日本:「パスポート 申請」の検索数が前年比 615% 増
- 日本:「沖縄 レンタカー」の検索数が前年比 259% 増
- シンガポール:「ホテル」の検索数が前年比 60% 増
- オーストラリア:「格安航空券」の検索数が前年比 35% 増
とはいえ、夏休みの旅行シーズンに向けて、旅行関連企業が成果を上げるためには、こうした大まかなトレンド以上の情報が必要でしょう。
旅行需要のピークがどこにあるのか、人気急上昇中の旅行先はどこなのかといった最新の情報を活用できれば、タイムリーに関連性の高い旅行商品を提供し、予約の獲得に対して広告投資を最適化できることになります。
APAC における旅行トレンドの分析では、インバウンドとアウトバウンドそれぞれの旅行先として、需要が高まっている上位 5 カ国が明らかになりました。インバウンドは、検索動向から旅行に興味があると考えられる世界の生活者による検索が多かった APAC の国々、アウトバウンドは、同じく旅行に興味があるであろう APAC の生活者による検索が多かった世界の国々です。
また世界の旅行者による検索の伸び率が大きい APAC の上位 5 つの国と都市は次の通りです。
ただし旅行先への興味は、テレビ番組やポップカルチャーの流行、ソーシャルメディアのトレンド、大規模なイベントなどの影響を受ける傾向にある(*3)ため、順位は流動的です。
たとえば、米国でヒットしたドラマ『ホワイト・ロータス』が放映された際、シーズン 1 を撮影したハワイのホテルの検索は半年で 120% 増加しました。またイタリアに舞台を移したシーズン 2 の放映後には、同じくイタリアのホテルの検索が半年で 28 倍に急増したのです(*4)。韓国で『オーバーウォッチ』というゲームが流行した際には、その舞台の 1 つだった英領ジブラルタルへの旅行が増加した例もあります。
旅行ブームがもたらすビジネスの可能性を最大限に引き出すには、旅行の需要や関心に関するタイムリーなインサイトが必要です。それがあれば、ホテルやフライト、アクティビティなど旅行者が必要とするものを提供したり、自社の旅行商品をプロモーションしたりするのにも役立ちます。
旅行に関するインサイトをタイムリーにつかむには
Google の Destination Insights は、最新の旅行需要を把握するための、無料のオンラインツールです。成長を期待できる旅行市場を簡単に特定し、旅行者の好みに合わせたキャンペーンを配信することができます。
Destination Insights では、5 日前の検索データに基づいて、各市場における上位のインバウンドおよびアウトバウンドの旅行先を提供します。また事業やマーケティングの戦略上、重要な地域や国、都市での関心やニーズを確認することも可能です。
タイムリーに更新されるこれらの情報があれば、旅行プランを吟味して、新興の旅行会社や新しい旅行サービスを試そうと前向きになっている重要な時期に、人々の関心と好みに合ったキャンペーンを作成できます。APAC での調査によると旅行者は、平均 28 日間は漠然と旅行を夢見て、平均 24 日間で具体的な計画を立てていきます。その過程で、フライトや宿泊施設を決める際には 5 つ ~ 6 つの選択肢を検討し、4 人に 1 人はそれまで使ったことのないプラットフォームで予約しているのです(*1)。
Destination Insights を使って、ビジネスにおける的確な意思決定を下すには
現在人気の、あるいは急激に人気が高まっている旅行先に関する最新情報を活用できれば、旅行者の興味関心により関連したキャンペーンが可能になります。こうした人気の旅行先をキャンペーンに含めていない場合には、それを追加して Google 広告で対象の地域に広告を配信しましょう。また Destination Insights を使って、複数の新しい関連地域でキャンペーンをテストし、重要な潜在顧客を見つけることもできるでしょう。
たとえばシンガポール航空は、データドリブン アトリビューションによる「価値に基づく入札戦略(Value Based Bidding)」を使ってキャンペーンを拡大した際に、地域別の旅行需要に関するインサイトに基づいて、優先すべき市場を判断しました。この最適化により、Web サイトのトラフィックは 46% 増加し、コンバージョンは 26% 増加したのです。
Destination Insights を参考に旅行者の関心や需要に合わせてキャンペーンのクリエイティブを更新することで、ビジネスを最適化することもできます。クリエイティブのビジュアルやメッセージを調整することで、旅行を計画している人のコンバージョンを促せるでしょう。
特に動画広告のクリエイティブを更新することは重要です。調査によると旅行者の半数以上が、旅行を計画する過程で動画を視聴すると回答しており、41% が YouTube を利用していると答えています(*5)。
たとえば動画アクション キャンペーンでクリエイティブを変更することで、キャンペーンを実施している YouTube やその他の Google のパートナーである動画プラットフォーム全体に反映されます。これによりブランドは、旅行計画のさまざまな段階にいる人々に対して強い関連性を持つことができ、顧客獲得単価を抑えつつ、コンバージョンを促すことができます。
旅行意欲が高まっている今こそ、旅行ブランドが輝く時です。旅行者の需要と関心の動きをしっかり把握することで、ビジネスの成長機会を最大化し、この夏のビジネス成長につなげましょう。