多くの人がスマートフォンを持つようになったことで、生活者の日常で数多くの Micro-Moments (マイクロモーメント) が発生するようになりました。では、生活者は普段の生活で何かについて調べる時、どういう状況で、どんな手段で、どのような意図を持って検索を行なっているのでしょうか? 生活者の日常生活での検索行動の実態を理解するために実施した観察調査の結果から浮かび上がった検索時の生活者のリアルな状況や意図を詳しく見ていきましょう。
Googleは、生活者の日常生活での検索行動の実態を理解するために、観察調査(887人の男女15-49才スマホユーザーが対象)を実施1しました。その結果、検索キーワードを見ているだけではわからなかった、検索時の生活者のリアルな状況や意図が浮かび上がってきました。
調査結果の分析
下記のグラフをごらんください。生活者のプライベートにおける全ての検索のうち、67%がスマートフォンによるものでした。男女別では、検索でスマホを使う傾向が高いのは女性で、なかでも29才以下の女性は、全検索回数に占めるスマホ検索回数の割合が86%にのぼりました。
また、自宅からの検索のうち、63%がスマホを使用していました。自宅にパソコンを持っていても、気になったことがあれば、すぐに手元のスマホで検索をするという行動パターンがわかります。
では、生活者はどのような状況でどんな意図から調べているのでしょうか?
調査では対象者の検索1回ごとに、「何を知りたいと思ったか」そして「何をするために検索を行なったか」という、いわゆる「検索の意図」について自由回答形式で答えてもらいました。分析ではそれらの自由回答を読み込み、検索時点では具体的な行動を想定していなかったケースと、具体的な行動を想定したケースの2種類に大きく分けました。それらをさらに細かく分類し、合計で5つの項目をつくりました。それが以下のグラフです。
検索時点では具体的な行動を想定せず「ふと気になったこと」を調べているケースは全検索の48%でした。また、「やりたい」「行きたい」「買いたい」など次の行動を意識した検索の合計も同程度の割合ということもわかりました。この調査による発見の1つは、日常のシーンで「ふと気になったこと」についてスマホでサクッと調べる「気軽な」検索は、全検索のうち約2回に1回発生していることでした。
調査結果から見えてきたインサイト
この調査結果からマーケティングコミュニケーションに役立つどのような示唆を得ることができるのでしょうか?2つのインサイトが見えてきました。
インサイト1:
日常生活において、何かを「買いたい」「行きたい」など、具体的な行動意図を持った検索は全検索の半分弱を占めている。
インサイト2:
気軽に「ふと気になったこと」を調べるタイプの検索も、インサイト1と同じくらいの頻度で発生している。
一般的に、検索広告はクリックからの販売やユーザー登録などのダイレクトレスポンスを目的として活用されています。インサイト1が示すように、ダイレクトレスポンス目的の検索広告は、ニーズが顕在化し、具体的な行動を想定したタイプの検索をうまく捉えているということがわかります。
インサイト2についていえば、検索広告で表示された内容が「ふと気になったこと」に関連していても、具体的な行動を想定した検索の検索結果ページに表示される検索広告(インサイト1)と比べると、その広告はタップまたはクリックされにくいと考えられます。
しかし発想を変えてみれば、検索広告の目的を、タップやクリックを期待するダイレクトレスポンスに限定せず、その広告を目にしたことによるブランディング効果まで含めれば、生活者の意図に沿った新たなマーケティングコミュニケーションの機会が発生していると考えることもできます。
調査結果からわかったのは、同じ「検索をする」という行動であっても、生活者ごとに意図や目的はさまざまだということです。検索の意図が多様であるならば、その検索の意図に沿って届けるメッセージもまた、多様なパターンを想定する必要があるのではないでしょうか。