アジアの生活者にとって、検索は購買のあらゆる段階において不可欠になってきました。検索や検索ソリューションが進化すればするほど、生活者の期待はどんどん高まります。より「 関連性の高い 」情報を、即座にそしてシームレスに求めます。こうした変わり続ける生活者の行動に応えていくには、データや機械学習など新しいツールを積極的に活用していく必要があります。
アジア太平洋地域の生活者は、購入の前からオンラインで情報を収集して、心に響くものを探します。 きっかけとしてよく使われるインターネット検索は、コンシューマー ジャーニーにおける重要なタッチポイントです。 ベビー用品のような日用品でも、あまり頻繁に購入しない金融商品でも、最も重要な情報源は検索で、それぞれ 58%、49% の人が利用しています。 コンシューマー ジャーニーが複雑になったことで、ユーザーの意図に合わせてアプローチできるようになり、マーケターは膨大なデータを手に入れることが可能になりました。
しかし、このようなデータを分析し、ユーザーに対して効果的にアプローチするには、従来の手法から脱却し、新たにデジタルを基本に取り組む必要があります。 検索を有効に活用するためには、以下の 4 点が重要になります。
これらのポイントを踏まえ、検索におけるマーケティング戦略を改善したブランドは、多大な成果を上げています。
1.生活の一部になる: コンシューマー ジャーニーの初期から適切なメッセージを示す
もっとも重要なのは、生活者が最初の単語を検索する瞬間です。 先ほど例に挙げたベビー用品と金融商品では、生活者は 3 社程度のブランドを考慮して検索を開始し、それらについてあらゆる情報を集めます。ただし、その段階では他のブランドも検討する余地があります。
だからこそ、生活者がインターネットで検索を始めた瞬間に、自社ブランドをアピールすることが極めて重要なのです。
検索結果には、ブランドの情報に加え、検索の意図に沿った関連性の高い情報を表示しなければなりません。 多くの生活者は一般的なキーワードで検索を開始し、そこからさらに絞り込んでいきます。たとえば「 旅行 目的地」というキーワードでスタートして、次は「ハワイへのフライト」を探すという具合です。さらに最安値のチケットの航空会社名など、ブランド名でもっと絞り込みます。 実際には、コンシューマー ジャーニーのすべての段階、特に検索の初期で表示する広告について、それぞれに関連性の高いキーワードの組み合わせを洗い出す作業は極めて煩雑です。 これに多くの時間とリソースを投じる代わりに、機械学習と自動化機能によって、ブランドはユーザーの意図に沿った関連性の高い広告を表示できるようになりました。
旅行代理店の大手 H.I.S.は、動的検索広告を活用して、旅行計画を立てはじめた段階のユーザーを対象にアプローチしています。 H.I.S. のサイトに掲載している情報と関連した商品やサービスを検索すると、動的検索広告が自動的に生成され、ユーザーの検索キーワードとサイト上の情報に基づき、関連性の高い広告見出しが設定されるというものです。
動的検索広告によって、H.I.S. は最初の購入ステージで一般的なキーワードで検索したユーザーにアプローチできるようになり、このようなキーワードでのクリック数は 150% も伸びました。
2. スマートに: 機械学習で重要なデータを分析
5 年前であれば、マーケティングに必要な情報は生活者の属性と地域だけでした。 しかし現在、とくにインターネットでは購入までに数百もの接点が存在し、それぞれ膨大な量のデータが蓄積しています。 一般に、マーケターはユーザーに関する豊富なデータを入手できますが、社内データ、外部データ、検索データがそれぞれ独立しているケースもよくあります。 購入におけるあらゆるシグナルを察知し、それを大局的な視点で分析すれば、ユーザーを深く理解することができるでしょう。
データを統合することでカスタマー ジャーニーを俯瞰することが可能になり、生活者に働きかける際に理解しておくべき状況が把握できるのです。 いつ、どこで、どんな目的で検索しているのか理解すれば、重要なユーザー層を想定し、全コンシューマー ジャーニーにおいて関連性の高い情報を訴求することができます。
機械学習と自動化機能は、検索キャンペーンの最適化に欠かせません。 自動入札機能は、入札ごとに対象ユーザーの地域、端末の種類、検索パターン、時間帯といった広範なデータに基づき、すべての検索で発生状況を個別に分析したうえで、ブランドの目標に即して入札単価を自動的に調整します。 アジア最大級の旅行予約エンジン Goibibo は、Google のスマート自動入札機能と手動による個別単価設定のどちらが目標コンバージョン単価達成に効果的なのか比較しました。 その結果、個別単価設定よりも自動入札機能のほうがホテルの予約数が 25% 増加、ホテルに関するブランドを指定しない検索キャンペーンのコンバージョン単価も 22% 低く抑えることに成功したのです。
3. より速く: 生活者は速度を求めている
モバイル検索からやってきた生活者が、最初に気にするのは読み込み時間です。 53% のモバイルサイト訪問者が、読み込み時間が 3 秒を超えるモバイルサイトの利用を断念します。 本来見込めた収益の半分が、この一瞬で失われてしまうことになりかねません。
これについて最も重要な対策は、問題の洗い出しです。 読み込みに時間がかかっている理由を突き止める前に、サイトのモバイル対応度をテストしてみましょう。 日本のベルーナや、インドの旅行サイト Makemytrip.com(MMT)は、この施策に取り組みました
ベルーナは、モバイルサイトをすばやくかつ簡単に利用できるよう、古いファイルやスクリプトを削除して Accelerated Mobile Pages(AMP)を導入しました。さらにプログレッシブ ウェブアプリ(PWA)も導入し、モバイルの購買体験の快適性を高めました。 インドの MMT は、インドのスマートフォン ユーザーが利用しやすいよう独自のプログレッシブ ウェブアプリをリリースし、時間や地域、ネットワーク接続の有無に左右されることのない、便利で信頼できるモバイル予約サービスを提供しました。
ここのような取り組みの結果、上記の 2 ブランドともモバイル サイトの読み込み時間が劇的に短くなり、直帰率の低減とコンバージョン数の増加に寄与しました。
4. 正しい価値を理解する: コンシューマー ジャーニーを包括的に評価する
完璧な分析が可能になれば、メディア指標をもとに成果の高いキャンペーンを的確に把握し、広告費用を最適化することができます。 それを実現し、生活者にアプローチする効果的なタイミングを見極めるため、コンシューマー ジャーニーを正しく包括的に評価しましょう。
コンシューマー ジャーニーにおいて、ユーザーはスマートフォン、パソコン、店舗を行き来します。店舗内でもスマートフォンを使うケースはよくあります。購入やコンバージョンに貢献する接点は最後のクリックだけではありません コンシューマー ジャーニーとは、サッカーにおけるボールのパスに似ています。ゴールまでにさまざまな選手がボールを繋ぐのと同じように、購入経路の多くのタッチポイントでクリックが発生します。 決め手はストライカーにあたるラストクリックかもしれませんが、ミッドフィルダーやディフェンスによる重要なアシストも正当に評価しなければなりません。
データドリブン アトリビューション モデルを使うと、ラストクリック以外の接点を考慮しつつ、重要なユーザー行動を促した要素を認識することができます。 それにより広告予算配分を最適化することができ、ユーザーの目に止まりやすく関連性の高い広告を表示できます。
上で紹介した H.I.S. もデータドリブン アトリビューション モデルを導入し、まだ比較検討段階のユーザーに対する広告の価値を自動的に把握しました。 その結果、旅行の計画を立てはじめたばかりの生活者の意図をいち早く把握でき、フライト予約を 62% 増加させることに成功しました。
変わらずに生き残るために、変わり続ける
生活者の行動は日々変化します。自らが変わりつづけることで、積極的に変化を活用していくことが極めて重要になってきます。 生活者により役立つ情報を提供できるよう、最新の技術動向を常に意識しましょう。