一人旅か友人との旅行か、もしくは家族旅行なのかで旅に求める要素は異なります。
前回の記事では、2023 年 3 月から 6 月にかけて実施したアンケート(*1)やインタビュー調査(*2)を基に、旅行スタイル別に人々が重視する要素を分析しました。
国内の一人旅では、流行よりも自分の趣味嗜好を追求したいといった傾向があったり、パートナーとの海外旅行では、予算を気にせず特別な体験を求める意識が強かったりといった違いが見えてきました。
では旅行スタイル別に多様なニーズがある中で、そのニーズに応える旅行を自信を持って選ぶために、人々はどのように情報収集しているのでしょうか。
旅行スタイル別に紹介します。
旅行者の情報源は?
まずは、海外旅行における情報収集について見ていきましょう。
海外旅行者は、旅行の計画にあたって「Google 検索」「旅行予約サイト」「Google マップ」「YouTube の動画」といった情報源をよく利用しているようです。
この傾向は一人旅で特に顕著で、Google 検索や Google マップといったスコアが平均を大きく上回っています。また「航空会社の公式サイト」も全体平均と比べて 5.9 ポイント高く、一方で 「Instagram」(平均 -6.1 ポイント)や「TikTok の動画」(平均 -2.8 ポイント)などのスコアは低いという結果になりました。前回紹介したとおり、海外の一人旅では、「SNS や作品で見た場所を追体験したい」「話題の場所に行ってトレンドに乗りたい」といった要素をあまり重視しない傾向にあり、こうした姿勢が参考にする情報源からも見て取れます。
一方で友人旅では「Instagram」(平均 +9.3 ポイント)や「TikTok の動画」(平均 +5.6 ポイント)をよく利用しています。こちらも「SNS や作品で見た場所を追体験したい」という重視ファクターが、そのまま情報収集に表れた結果と言えるでしょう。
続いて国内旅行について見ていきます。よく利用する情報源の上位は、「旅行予約サイト」「Google 検索」「Google マップ」でした。
そんな中、友人との旅行では、「知り合いとのおしゃべり」や「メッセージアプリのチャット」「Instagram」などから情報収集していることがわかりました。海外旅行同様に、SNS や作品で見た場所を追体験したいという姿勢が情報収集にも現れています。
このように、情報収集は旅のスタイルによって多様化していることがわかります。同時に、めまぐるしい社会環境の変化と情報量の多さからすべての情報を精査することは困難です。特にここ数年は、不確実性の高い社会状況も相まって、その影響を受けやすい旅行を検討する際には、信頼できる情報源と拠り所が一層重要になっています。
実際、アジア太平洋地域を対象とした Google の調査では、日本の回答者の半数が「旅行関連の情報を複数の情報源でチェック」しており、また 3 分の 2 以上が「旅行の予約をする前に、自分は最善の選択をしたと自信を持ちたい」と回答しています(*1)。
さて、こうした旅行計画中の情報収集ですが、実はその後のリピートにも影響を与えていることが明らかになりました。
次回の記事で、詳しく解説していきます。
連載「2023 年の旅行動向」
第 1 回:旅行スタイルによって、旅に求める要素はどう変わるのか
第 2 回:一人旅、家族旅行 ―― 旅行計画中の情報収集からなにがわかるのか
第 3 回:満足度の高い旅行は計画中から始まっている
Contributor:
斎藤 圭右 アナリティカルリード
朴 ヨンテ コンシューマーマーケットインサイトチーム シニア リサーチ マネージャー