US 版 Think with Google が 2024 年 4 月に公開した記事を基に日本語に翻訳し、編集しました。
生活者のプライバシー意識が高まり、規制も強化される中、小売企業にはプライバシー保護とデジタルマーケティングや効果測定を両立させるための対策が求められています。プライバシーを守りながら、精度の高い測定、消費に対して熟考する生活者へのリーチとコンバージョン、魅力的な買い物体験を創出する方法の 1 つとして考えられるのが、Google AI の活用です。
1:長期的に広告効果を高めるための測定基盤で収益性を高める
プライバシーへの対応は、生活者にとって最も大切なことであるだけでなく、企業にとっても成長の機会になり得ます。米国、カナダ、ブラジル、メキシコの 4 カ国での調査によると、購入候補の中で第 2 希望のブランドのプライバシー対策がしっかりしている場合、49% の人が最有力のブランドから 第 2 希望のブランドに切り替えると答えています(*1)。
つまり、小売企業は生活者との信頼関係に基づく、投資対効果(ROI)の測定方法を再考する必要があるということです。Google AI は、急速に変化するカスタマージャーニーを予測してモデル化し、生活者のプライバシーを保護しながら精緻な測定結果を提供する一助となりますが、そのためには質の高いデータが欠かせません。
人々が何を求めているかを本当に理解するには、有意義な関係を築くことが重要です。そしてそのために効果的なのが、人々の同意の上で取得したファーストパーティデータです。信頼性の高い情報の強固な基盤があれば、AI ソリューションを強化し、生活者によるプライバシーの選択を尊重しながら同時に ROI の向上を実現できます。
2:新規顧客を発見し、エンゲージメントを高める
潜在顧客に実際の顧客になってもらうためには、そのブランドや商品を選ぶべき理由を理解してもらう必要があります。多くの人は、認知から購入へと進む過程で、信頼できる情報源を探すために Google や YouTube を活用しています。たとえば米国では、生活者がオンラインで新しいブランドや商品を見つけるために YouTube を使う可能性は、他の SNS を使う可能性よりも、平均 2 倍高くなっています(*2)。 また日本を含む 7 カ国での調査によると、調査対象者は YouTube 広告で商品を見た後の方が、他の SNS で商品を見た後よりも平均で 67% 商品を購入する確率が高まったとの結果が出ています(*3)。
動画リーチ キャンペーンや動画視聴キャンペーンなど、Google AI を活用した動画キャンペーン(英語)を活用すれば、できる限り多くの潜在顧客にリーチし、エンゲージメントを高められます。Google AI はマーケティング目標などに基づいて、YouTube のさまざまなフォーマットやデバイスに広告を配信し、メッセージが人々に最も受け入れられやすいと想定されるタイミングと場所で表示します。
また、Google AI を活用したデマンド ジェネレーション キャンペーンを使えば、人々を商品の発見から購入まで導くこともできます。このキャンペーンでは、視覚的に魅力あるマルチフォーマットの動画広告を使って、YouTube 全体でエンゲージメントとアクションを獲得します。
韓国の総合家電メーカー Samsung は、潜在顧客層との新たな関わり方を見つけるため、ドイツでデマンド ジェネレーション キャンペーンの実験を行いました。テストキャンペーンのパフォーマンスは同社の期待を上回り、広告のクリック率(CTR)は 400% 向上し、クリック単価(CPC)は 70% 低下しました。
3:購入意向を、実際の購入に変える
ほとんどの小売企業が言うように、人々の関心を引くことが必ずしも販売につながるわけではありません。しかし Google 全体で 1 日に 10 億件を超える購買に関係するアクションがある(*4)ことからわかるように、Google AI を活用して購入には至っていない生活者に対して適切なメッセージ(セール、配送、オンラインまたは店舗での受け取りなどの情報)を、最適なタイミングと場所で届けられれば、購入につなげることが可能です。
たとえば P-MAX キャンペーンは、ショッピング広告で商品を宣伝するだけでなく、オンラインかオフライン、あるいはその両方で、目標に応じて Google のさまざまな広告枠で未開拓の成長機会を見つけられます。また検索広告では、インテントマッチ(旧:部分一致)やスマート自動入札を活用することで、自社にとって関連性の高い検索クエリとテキスト広告からの、販売と ROI 向上に貢献します。このように、P-MAX キャンペーンと検索広告を併用することで、生活者の検索クエリをより幅広く捉えると同時に、効果的にコンバージョンを促せるのです(*5)。
その関連性を強化できれば、P-MAX キャンペーンのショッピング広告と検索テキスト広告を同時に表示して、存在感をさらに高めることができます。一方、新規顧客の獲得に重点を置きたい場合は、P-MAX キャンペーンと検索の両方で、新規顧客の獲得を優先できます。
検索広告と P-MAX キャンペーンを組み合わせた好例として、ベトナムのオンデマンドプリント業者である Gossby の事例があります。同社は広告費用対効果(ROAS)を維持しながら、注文数を 22% 伸ばし、コンバージョン率(CVR)を 33 倍に高めることに成功しました。
4:個々人に合わせた魅力的な体験を広く提供する
広告キャンペーンの創造性は、キャンペーンをどこでどのように展開するかと同じくらい重要です。生活者には多くの選択肢があるため、関わるブランドに対して個々人に合わせた買い物体験を強く期待しています。Z 世代、ミレニアル世代、ベビーブーム世代を対象に実施した調査によると、特に若い世代は楽しませてほしいと感じていることがわかりました。買い物は娯楽の一種だと答えた人は半数近くで、Z 世代(61%)とミレニアル世代(57%)でその傾向が最も強くなっています(*6)。
こうした期待に応えるには、新たな方法で商品を閲覧できるようにするための Google の充実した購買体験(英語)が役に立ちます。P-MAX キャンペーンの生成 AI(2024 年 7 月現在は英語のみ対応)を使えば、見出しや説明、画像などのアセットを作成してクリエイティブなビジョンを実現できます。
小売企業は、カスタマージャーニー全体にわたり Google AI を活用することで、プライバシーを保護しながら、生活者が信頼するプラットフォームで、適切なメッセージを適切なタイミングで伝えられます。また個々人に合わせた楽しく魅力的なクリエイティブを提供することで、生活者に情報を届け、コンバージョンを獲得していけるのです。
次の記事では、年間を通じて特に重要な商戦期であるホリデーシーズンに向けて、Google AI を使って人々を引き付ける方法を紹介します。
2024 小売業界向けデジタルマーケティングガイド
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