US 版 Think with Google が 2024 年 6 月に公開した記事を基に日本語に翻訳し、編集しました。
今日、人々は買い物に対して熟考するようになっていますが、それでもゴールデンウィークやクリスマスなど、主要な連休やイベント期間にはお金を使う傾向にあります。こうしたタイミングでは買い物意欲が高まるため、マーケターはホリデーシーズンの 12 月だけでなく、年間を通して生活者がこれらの機会をどう捉えているかを理解する必要があります。
より深く生活者を理解したインサイトを Google AI を活用した広告ソリューションと組み合わせることで、主要なイベントを通じて人々の信頼を築き、買い物意欲を高めることができます。その方法を紹介しましょう。
買い物意欲が高まるイベントを最大限に活用するために、生活者の心理を理解する
主要なイベントが近づくにつれて人々は、「熟考」「お買い得志向」「決断」「没頭」という、4 つの心理状態(英語)の間を行き来します。通常、人々は 4 つの心理状態に基づく行動を組み合わせて示しますが、特定のセールやイベントが近づくにつれていくつかの行動がより顕著になります。企業の戦略をこうした生活者の心理に合わせることで、カスタマージャーニーの重要な段階で人々とのつながりを強化し、より良い成果を上げることができるのです。
熟考
買い物に対して熟考する人々は、事前に計画を立てるのを好みます。ホリデーシーズンを含む主要なイベント期間のずっと前から、ギフト選びのヒントを求めて調べ始めています。Google と Ipsos の調査によると、ホリデーシーズンに買い物をしている人の 59% が、12 月に入る前に購入する商品を決めていました(*1)。2023 年 10 月から 2024 年 1 月にかけての買い物の約 4 分の 3 は事前にリサーチしており、それらの買い物の 4 分の 1 で「たくさん調べた」と回答しました(*2)。
特にセールというイベントは、熟考を引き出します。人々は値引きを逃さないために準備をしようと考えているためです。2023 年は、11 月末の「ブラックフライデー」に関する検索数が、10 月から世界中で増え始めました。さらに調査では、58% の人が、2023 年 10 月の初めにはホリデーシーズンのセールで購入したい商品について事前に検討したと回答しています(*3)。このため、実際の購入は後になるとしても、早い段階でサービスや商品をプロモーションをしておくことが重要なのです。
YouTube の動画視聴キャンペーンと動画リーチ キャンペーンでは、ギフトを熟考している人々にインスピレーションを与え、明確な行動喚起で購入に導くことができます。また、行動を促すデマンド ジェネレーション キャンペーンを活用すれば、さらなる買い物意欲を喚起できます。
インテリア業界の新興企業 Swyft は、デマンド ジェネレーション キャンペーンなど、Google AI を取り入れた広告ツールを活用しています。これにより、潜在顧客が商品を検索しているときだけでなく、その手前の情報収集をしている段階にもリーチできるようになりました。
お買い得志向
お買い得志向は、特定のセール日だけに限らない、持続的な行動です。実際、ホリデーシーズンに買い物をした人の 75% が、ホリデーシーズン中は常にプロモーションに注目していると回答しています(*4)。人々にとって、1 つの買い物はお祭りムードの幕開けなのです。
セールの前に期待感を高めるプロモーションを戦略的に計画することで、買い物意欲を 1 日に留めず、シーズンを通して商品を買ってもらうことができます。お得な情報、店舗の評価、商品のレビュー、購入後の配送や受け取りなどに関するフルフィルメントオプションといった情報を商品リスト内で提供することで、お買い得志向の人々のエンゲージメントを高めることができるでしょう。
決断
ホリデーシーズンなどのイベントが近づくにつれて、人々はプレッシャーを感じ始め、決断へと心理状態が移り変わります。この時期には、最も慎重な人々でさえ、土壇場で購入を決めてしまうことがあります。2023 年は、12 月が始まる前にホリデーシーズンの買い物の 43%しか終えておらず、サイバー 5(ブラックフライデーからサイバーマンデーの次の火曜日までの 5 日間)以降に売り上げを獲得する大きなチャンスが残されていました(*1)。必要な買い物を早く済ませようと決断した人々にアプローチするには、シーズン後半のプッシュに向けてマーケティング予算を事前に確保しておくことが大切です。
2024 年は特にこれが重要になります。ブラックフライデーが昨年より 5 日遅くなり、シーズンのピーク中に買い物を終えるための時間が短くなるためです。このタイミングは米国市場以外にも影響を及ぼします。英国、ドイツ、オーストラリアでは、ブラックフライデーでの買い物の重要性が徐々に増しています。またブラジルやフランスなど、重要性が一貫している市場では、過半数が「ブラックフライデーはホリデーシーズンの買い物にとって重要」だと答えています(*5)。
こうした土壇場での買い物では、多くの人が買い物を完了するために必要な情報を求めて Google を利用しています。P-MAX キャンペーンを使えば、購入を決断しようとしている人々の準備が整った瞬間に、さまざまなタッチポイントでアプローチ可能です。
決断の心理状態にある人々は、商品がホリデー前に届けられることを願い、最終出荷日を過ぎても商品を探しています。ローカル在庫広告や実店舗の目標に基づく P-MAX キャンペーンを利用すれば、特定の店舗や商品プロモーションを宣伝したり、土壇場での買い物需要がピークに達したときに買い物客にアプローチしたりできます。これらの広告により、人々はホリデーシーズンの店舗営業時間や近くの店舗の在庫状況、あるいはオンライン購入、店舗受け取り、当日受け取り、当日配送などのフルフィルメントオプションを見つけることができます。
没頭
ホリデーシーズンが終わった後も、人々は自分の楽しみのために買い物を続けたいと考えます。自分への贈り物やお買い得な商品探しは一般的な行動です。こうした没頭している人々に対して、企業は消費のピークが過ぎてからもサービスを提供し続けることで、翌年に向けてブランドへのロイヤルティを築くことができます(*6)。
人々に親近感を持ってもらうためには、ポジティブな体験が欠かせません。Google の調査によると、品質、信頼性、評判、サービスは、人々と企業との関係性を深める役割を果たすことがわかっています(*2)。さらに、下調べした上で購入した商品では、親近感がさらに高まりやすくなります(*7)。実際、ホリデーシーズン中の買い物の 5 分の 1 は、好きなブランドのポイントを使って行われたというデータがあります(*2)。
人々は、ホリデーシーズンが過ぎた後も買い物を続けることから、小売企業には継続的なブランドへのロイヤルティと高いライフタイムバリュー(LTV)を生み出すチャンスがあります。アプリがあるなら、そのアプリを宣伝するのもロイヤルティを高める良い方法です。Google AI 搭載のアプリ キャンペーンなどを活用すれば、ユーザーを簡単に見つけて維持し、Google のプロパティ全体でアプリの販促を行えるようにすることで、手間を軽減できます。
ホリデーシーズンや主要なイベントは国や地域によって異なりますが、生活者がそれらに向かう態度はほぼ普遍的です。人々が心理状態を変化させるのに合わせて、企業はマーケティング戦略を重要な瞬間に最適化する必要があります。各段階での生活者の優先順位に基づいて、Google AI 搭載の広告ツールを使ってアプローチすれば、あらゆる人々とのつながりを最大限に活かせるでしょう。
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