ステイホームの影響で、2020 年は人々の検索動向や情報探索のあり方、ニーズが大きく変わりました。マーケターは、そういった変化に合わせて広告や情報発信の形を変えていく必要があります。
ここでは、米国版 Think with Google で、2020 年に読者のエンゲージメント率(*1)が高かった記事 5 本の概要を日本語で紹介します。全文(英語)は各リンク先からご覧ください。
仕事、レジャーのあり方が変わった
英語版の元記事:The at-home consumer experience with work and leisure
著者:ダレン・ブリスコー Contributor, Ads Marketing at Google
2020 年 2 月から 3 月にかけて、世界各国で移動が制限され、外出禁止令も出る中、人々の検索行動はどう変わったのでしょうか。
ビジネス関連では、リモートワークで生産性を維持する手法を模索する人が増え、「生産性の向上」や「デジタルトランスフォーメーション(DX)」「チームビルディング」などへの関心が高まりました。
余暇にも大きな変化が。外出や旅行がしづらくなったため、「virtual(仮想)」関連のクエリが急増し、動物園の様子をライブ配信する「live zoo(ライブ動物園)」などに注目が集まりました。また、「パンの焼き方」など、手作り関連のクエリも上昇しています。動画に興味をもつ人も増え、「Netflix」の検索クエリも上昇しました。
パンデミックで “ YouTube 動画の価値 ” が急上昇
英語版の元記事:New video research shows what viewers value during the pandemic, and beyond
著者:ヴァネッサ・ヘンスラー Lead Effectiveness Researcher for Ads Marketing, YouTube
ステイホームの影響で世界中の人々は、以前よりさらに動画コンテンツを見るようになりました。2020 年 5 月、Google が米国内の人を対象に実施した調査では、回答者の 79% が「ストリーミングプラットフォームが自分を幸せにしている」と答えています。多くの人々が不安を抱えている中で、動画コンテンツが喜びや安心感につながっているようです。
動画は、教育や学びのツールとしても役立ちます。調査では、半数以上が子供向けの科学動画や、セルフカットを指南する動画、料理動画など、「新しいスキルを学ぶために動画を使っている」と答えました。そのほか、細菌がどのように広がるのか、人種差別の歴史などあらゆる学びに人々は動画を活用しています。没入感のあるメディアだからこそ、その背景やニュアンスを含め、多面的な側面を知ることができるのです。
すべてのストリーミングプラットフォームにおいて動画視聴が増えた主な要因
感染が拡大して以降、米国ではかつてないほど動画の視聴が進んでいます。視聴者の 85% は「特に YouTube を視聴している」と回答。2020 年 3 月には、テレビ画面で YouTube にログインしている視聴者の 60% 以上が、過去 7 日間に公開された直近の動画コンテンツを視聴しています。
ステイホームは家を “ 司令塔 ” にする
英語版の元記事:Will social distancing accelerate a trend toward home as headquarters?
著者:ジャスティン・デ・グラーフ Head of Ads Research and Insights at Google
新型コロナウイルスが世界的に拡大するにつれ、在宅ワークやオンライン授業が増え、食料品のネット購入も増えました。
家は、くつろぐだけの場所ではなく、働いたり勉強したり、買い物をする場所といった役割も担うようになったのです。今後はより多くの人々が、ネットを使った仕事や買い物にハードルを感じなくなっていくでしょう。
在宅ワーカーにとって、自宅に快適な仕事スペースを構築することや、注文した食品の配達スピードや品質、在庫があるかどうかなどが、短期的なニーズになりました。
そういった基本的なニーズに応えるための戦略を、マーケターはまず考える必要があります。そして長期的に人々が「ニューノーマル」に適応し、家が仕事や生活の “ 司令塔 ” になったとき、それが自社の業界にとって何を意味するのかを理解するための努力が必要になるでしょう。
動画広告はアクションも引き出せる——ブランディングだけではない 3 つの事例
英語版の元記事:Think video marketing doesn’t include performance marketing? Think again
著者:ケリー・フィッツジェラルド Director of Video
ステイホームで実店舗の売上が厳しくなる中、動画を使ったマーケティングがますます重要になっています。ここでは、動画広告によってブランディングに成功しただけでなく、カスタマージャーニーを考慮した設計と行動を促す提案で顧客のアクションも引き出せた事例を 3 つ紹介しましょう。
L'Oréal USA は、既存の動画にテキストを重ねたり「Call to Action(CTA、動画広告の後にアクションを促すメニュー)」を追加したりすることで、広告効果を高め、ブランドと製品に関連する検索を増やしました。
スマートセキュリティサービスを提供する ADT は、複数の動画を見せてストーリーを伝える「動画広告シーケンス」を使い、製品に関心のある特定の層にアプローチが成功。コンバージョン率が前年比 22% 増加しました。
オンライン教育プラットフォームの MasterClass は、既存の動画広告に「1 つ購入すれば 1 つ無料」のオファーを適用したところ、以前のキャンペーン比で、Web サイトへのクリック数が 140% 増加し、コース登録数が 70% 増えました。
この 3 つの事例が、動画広告の活用における新たなヒントになれば幸いです。
変化する需要を読み、事業を方向転換——オンライン経由で売上を増やした 3 つの事例
英語版の元記事:How 3 brands pivoted to meet changing consumer demand and grow online sales
著者:ジョン・マカティア V.P., U.S. Sales at Google
新型コロナウイルス感染症の拡大は、人々の関心や購買行動がいかにクイックに変化するかを示しています。そうした需要の変化に柔軟に対応するために事業を転換し、オンラインデータや自動化を活用しながら売上を伸ばした 3 つの例を紹介します。
ニューヨークを拠点とするパン屋の MilkBar は、18 店舗のうち 13 店舗を閉鎖する一方で、スイーツの通販に投資。“ 近くのケーキ配達 ” での検索が昨年対比で 500% 増加したことに応えるため、オンラインビジネスへの投資に切り替えました。
オンライン家具小売業者の Overstock は、外出禁止令でインテリアや家具の需要が増えたことに着目。広告入札を完全に自動化し、サイトの速度を向上させたところ、4 月の小売売上高は 120% 増加し、顧客は 250% 増えました。
アパレル小売の Hugo Boss は、テキスト広告にビジュアルを追加することで、検索キャンペーンのクリック率を 5% アップさせ、収益を 2.5 倍にしました。
Think with Google は、マーケティング業界に携わる人々に向けて、世界 20 カ国以上で展開している Google のオウンドメディアです。本記事はUS版の記事を取り上げましたが、日本でも、調査に基づいた最新の生活者インサイトや、デジタルマーケティングの事例、動向などを紹介しています。
こちらの連載記事も合わせてご覧ください。
・パルス消費につながる情報探索とは? バタフライ・サーキットと 8 つの動機
一見すると無作為に見える情報探索や検索行動のプロセス。Google では、この購買に至るまでのプロセスに一定の法則を発見し、「バタフライ・ サーキット」と名付けました。消費者行動の分析から見えてきたデジタルマーケティングの新たな可能性を全 5 回の連載で紹介します。
新型コロナウイルス感染症の影響により、私たちの生活環境は日々大きく変化しています。その大きな変化は、検索動向にも如実に表れました。国内の関心はどのように移り変わったのでしょうか?
デジタル広告への信頼を維持し、エコシステムをさらに発展させていくことは Google にとって最優先事項です。誰にとっても安全なデジタル広告を実現するための取り組みを、「公平性」「透明性」「選択の可能性」「プライバシー保護」などの観点からまとめました。