スマートフォンは私たちの暮らしの中に浸透し、機械学習による検索やアシスタントサービスも目を見張る進化を遂げています。そのような状況下で、生活者の日常を支えるツールとしてのインターネットへの期待は、無意識のうちに高まっています。全 2 回の本記事では、まず第 1 回目で「最新の生活者像」について分析します。
Google の調査から浮かび上がった「最新の生活者像」
スマートフォンの登場からすでに十年以上経ち、技術の進歩と共にスマートフォンでできることは増え続けています。それに伴い、生活者の期待値もいよいよ増しています。
最新の生活者像に関する Google の調査からは、次の 3 つの特徴が浮かび上がってきました。
「なんでも知りたい」
「自分に合った答えがほしい」
「ストレスなく行動したい」
以下では、それぞれの特徴を詳しく読み解いていきます。
・生活者は「なんでも知りたい」
一般に、歯ブラシなどの日用品はわざわざ調べて買うものではなく、近くのドラッグストアやスーパーで「ついで買い」をする商品だと認識されているのではないでしょうか。
しかし実際の検索量を見てみると、「歯ブラシ」という単語は過去 3 年間で 2.2 倍増加しており、平均的な検索量の増加と比較しても顕著な伸びが目立ちます。
また「歯ブラシ」に関連する検索キーワードの種類も増加しています。「歯ブラシ おすすめ」、「歯ブラシ ランキング」といったわかりやすいものから、「歯ブラシ かため いたくない」、「歯ブラシ 乾燥機」など多種多様な検索が行われており、最新のデータでは、そのパターンは実に 41,064 種類にも及びます。
こうしたトレンドは、「歯ブラシ」だけでなく「電球」や「リップ」、「傘」などでも見られ、これまで「ついで買い」だと思われていた商品に対しても活発に検索していることがわかります。
スマートフォンの普及により、これまでなら店頭で目にして初めて「選択肢」が浮かび上がってきた製品でも、あらかじめ情報収集してから購入を検討するというスタイルができあがりつつあるようです。現代の生活者は、わずかな空き時間でもうまく活用して、ほしい情報に気軽にアクセスしていることがわかります。
生活者は「自分に合った答えがほしい」
現代の生活者にとって、自分が今いる場所を起点にした情報が手に入るのは当然であり、「今いる場所」に関連する検索を行う際、『港区』や『渋谷駅』など具体的な位置情報を入力しない検索が定着しつつあります。現在いる場所の天気予報を知るために、「今日の天気は?」と、場所を指定せずに検索する問いかけは、過去 3 年間で 6 倍にまで上っています。さらに、自分の居場所を入力することのない、「近くの〇〇」という検索は、 過去 3 年間で 8 倍にも増加しています。
これらは、スマートフォンなどのデバイスが自分の位置情報を考慮して答えてくれるはずという期待が無意識にあるためだと考えられます。
同時に、今いる「場所」だけではなく、「時間」を起点とした情報を求める傾向も高まっています。たとえば、「今やっているレストラン」のような、『今やっている〇〇』や『営業中の〇〇 』といった検索は過去 3 年間で 2 倍に増加しています。旅行に関する検索では、「今日 泊まれる ホテル」といった、当日予約などのタイムリーな情報を求める検索が過去 3 年間で 1.6 倍に増加しています。
無意識のうちに人々は、場所や時間など、現在いる状況を起点とした「自分に合った答え」を求めており、それが与えられることを当然のように期待しています。
生活者は「ストレスなく行動したい」
現代の生活者にとって、商品を購入したい場合、店舗に出向く前にインターネットで情報を集めることが当たり前になりました。とはいえ、いざ購入に踏み切る前には、やはり試着をしてサイズやデザインを確認したいもの。このため、近くのお店に商品の在庫があるかどうか、事前にオンラインで確認することが一般的になりつつあります。
Google の調べでは、日本の購買者の 4 割が、店舗を訪れる前に、オンラインで在庫確認をした経験があると回答し、さらに「〇〇 在庫」という検索は 3 年間で 1.8 倍に増加しています。
また、以前の記事でもご紹介した通り、モバイルサイトの表示に 3 秒以上かかると 53% の訪問者が閲覧を断念し、表示時間が 1 秒遅れごとにコンバージョン数が 20% 下がってしまうというデータもあります1。多くの生活者はオンライン体験に対して非常に高い基準を持っており、どんな時でもストレスなく行動したいと考えているようです。
第 1 回目では、Google のデータを通して見えてきた最新の生活者像を読み解いてみました。見えてきたのは、「なんでも知りたい」、「自分に合った答えがほしい」、「ストレスなく行動したい」という生活者の高い期待値です。第 2 回目では、これらの期待に対して大手カタログ通販ベルーナが実施した、商品やサービスを通じて絆を築くためのマーケティングをご紹介します。